動画でDX推進|現場産業の中小企業がDXの第一歩に動画を活用する方法

動画でDX推進|現場産業の中小企業がDXの第一歩に動画を活用する方法
製造業・建設業・物流のDX推進に動画を活用する方法を解説。作業マニュアル・安全教育・技能伝承の4つの業務課題と、中小企業が動画DXを始めるための5ステップを整理しました。

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DXに取り組みたいと考えているものの、「何から始めればいいかわからない」「IT人材がいない」という壁にぶつかっている方は少なくありません。特に製造業・建設業・物流といった現場産業では、業務のデジタル化が必要だとわかっていても、大がかりなシステム導入には踏み切れないのが現実です。この記事では、DXの第一歩として「動画」を活用する方法を、制作会社の視点から解説します。現場産業で特に効果が見込める4つのユースケース、具体的な始め方の5ステップ、費用の目安と補助金の活用まで、自社に当てはめて検討できる情報をまとめました。

中小企業のDXが進まない本当の理由 — 「何から始めるか」が見えない壁

DX推進は多くの企業にとって避けて通れないテーマです。しかし、実際に取り組めている企業と、取り組めていない企業の間には大きな差があります。このセクションでは、中小企業のDXが進まない構造的な理由を整理します。

中小機構が2024年に実施した「中小企業のDX推進に関する調査」によると、DXに「既に取り組んでいる」または「検討している」と回答した企業は42.0%で、前回調査の31.2%から10.8ポイント増加しています(中小機構「中小企業のDX推進に関する調査(2024年)」令和6年12月)。DXへの関心は確実に高まっています。

一方で、DXに「取り組む予定はない」と回答した企業にその理由を聞くと、「何から始めればよいかわからない」が27.2%に上ります(同調査)。さらに、DX推進の課題として「ITに関わる人材が足りない」が25.4%、「DX推進に関わる人材が足りない」が24.8%と続きます。

つまり、DXが進まない最大の理由は「やる気がない」のではなく、「何をすればいいかわからない」「できる人がいない」という構造的な問題です。特に現場産業の企業では、ITの専門人材を社内に抱えていないケースが大半であり、ERPやIoTといった大がかりなシステム導入から着手するのは現実的ではありません。

ここで注目したいのが、IT人材がいなくても始められるDXの入口として「動画」を活用するアプローチです。

DXの第一歩に動画が適している理由 — システム導入より先に「見える化」から始める

DXと聞くと、基幹システムの刷新やIoTセンサーの導入といった大規模な投資を思い浮かべるかもしれません。しかし、DXの本質は「デジタル技術を使って業務の仕組みを変えること」であり、最初の一歩は意外とシンプルです。このセクションでは、動画がDXの入口として適している理由を3つの視点から整理します。

IT人材がいなくても始められる

動画の制作は、社内にITエンジニアがいなくても進められます。撮影はスマートフォンでも可能ですし、編集や構成設計は制作会社に外注できます。ERPの導入であればIT部門の設置やベンダー選定に数ヶ月かかりますが、動画1本であれば企画から納品まで1〜2ヶ月程度で形になります。

DXの3段階(アナログ業務のデジタル化→業務プロセスのデジタル最適化→ビジネスモデルの変革)のうち、動画は最初の「アナログ業務のデジタル化」に位置づけられます。口頭伝達や紙のマニュアルで行っていた業務を動画に置き換えることは、最もハードルの低いデジタル化です。

効果が目に見えやすい

動画を導入すると、効果が具体的な形で現れます。「新人研修にかかる時間が短くなった」「ベテランが毎回同じ説明をしなくてよくなった」「安全教育の内容が統一された」といった変化は、現場の担当者が体感できるレベルです。

大規模なシステム導入では、効果が見えるまでに時間がかかります。投資対効果の説明が難しく、社内の合意形成もハードルが高くなります。一方、動画は「1本作って使ってみる」ことで効果を確かめられるため、経営判断のリスクが小さいという利点があります。

他のDX施策への布石になる

動画でのデジタル化は、単発の施策で終わりません。作業マニュアルを動画化する過程で業務フローが可視化され、「どの工程にムダがあるか」「どこで品質のばらつきが生じているか」が明らかになります。この可視化が、次のステップ(業務プロセスの見直しやデータ活用)への土台になります。

動画をクラウド上で管理すれば、いつ・誰が・どの動画を視聴したかのデータも蓄積されます。こうしたデータの活用は、DXの次の段階への自然な移行を後押しします。

現場産業で動画DXが特に有効な4つのユースケース

「動画でDXを推進する」と言っても、具体的にどの業務に動画を使えばいいのかがわからなければ、着手できません。ここでは、製造業・建設業・物流など現場産業の企業が動画で解決できる4つの業務課題を、課題の構造とあわせて解説します。

作業マニュアルの動画化 — 「見て覚えろ」からの脱却

課題: 製造業や物流の現場では、作業手順がベテラン社員の経験に依存し、「見て覚えろ」式のOJTが続いているケースが少なくありません。新人の教育に時間がかかり、教える側のベテランの業務時間も圧迫されます。紙のマニュアルがあっても、手順が複雑な作業はテキストと写真だけでは伝わりません。

動画による解決: 作業手順を動画で撮影し、字幕やナレーションを加えてマニュアル化します。新人は動画を繰り返し視聴することで、ベテランが毎回つきっきりで教える必要がなくなります。同じ動画を全員が見るため、教える人によって内容が変わるという問題も解消されます。

制作のポイント: マニュアル動画は「1つの作業手順につき1本」が基本です。1本に複数の作業を詰め込むと、見たい部分を探すのに時間がかかり、現場で使われなくなります。撮影は実際の作業現場で行い、作業者の手元や機械の動きがはっきり見えるアングルを確保します。

安全教育・KY活動の動画化 — 「紙の配布」から「繰り返し視聴」へ

課題: 建設業や製造業では、安全教育やKY(危険予知)活動が法令で義務づけられています。しかし、紙の資料を配布して読み合わせるだけでは、危険の実感が伝わりにくいのが現状です。特に、過去に自社で起きたヒヤリハットの事例は、文字で読むだけでは臨場感がありません。

動画による解決: 実際の現場映像を使い、どの場面でどのような危険が発生するかを視覚的に示します。紙の資料と比べて、危険の「実感」が格段に伝わりやすくなります。動画であれば、新規入場者教育や朝礼時のKY活動で繰り返し視聴でき、内容の定着率も高まります。

制作のポイント: 安全教育動画は、自社の現場で撮影することが重要です。他社の現場映像やイラストでは「うちの現場は違う」と受け止められ、当事者意識が薄れます。実際のヒヤリハット事例を再現する場合は、事故を未然に防いだ正しい対応もセットで撮影し、「どうすべきか」まで示します。

施工記録・品質検査の動画化 — エビデンスをデジタルで残す

課題: 建設業の施工プロセスや製造業の品質検査では、写真による記録が一般的です。しかし、写真だけでは工程の前後関係や作業の流れが伝わりません。クライアントへの報告や、第三者機関の検査対応でも、「この写真はいつの、どの工程のものか」を説明するのに手間がかかります。

動画による解決: 施工プロセスや検査工程を動画で記録することで、工程の前後関係がひと目でわかるようになります。コンクリートの打設、配管の施工、検品作業の流れなど、「この手順でこの品質が担保されている」ことを映像で証明できます。クライアントが現場に立ち会えない場合でも、動画を共有することで工程の透明性を確保できます。

施工記録の動画は、社内の品質管理だけでなく、営業ツールとしても活用できます。「うちの施工品質はこのレベルです」と映像で見せることは、テキストやカタログでは実現できない説得力を持ちます。営業場面での動画活用について詳しくは、営業・商談での動画活用方法もあわせてご確認ください。

制作のポイント: 施工記録の動画は、定点カメラやウェアラブルカメラで撮影する方法が現実的です。作業員の負担を増やさずに記録を残す仕組みが重要です。編集は最小限に抑え、日時・工程名のテロップを入れるだけでも記録としての価値があります。

技能伝承の動画化 — 退職前にベテランの技術を記録する

課題: 製造業において、ベテラン社員の退職に伴う技能伝承は深刻な課題です。JILPT(労働政策研究・研修機構)の調査によると、製造業企業の53.8%が技能継承について「あまりうまくいっていない」または「うまくいっていない」と回答しています(JILPT 調査シリーズNo.194「ものづくり産業における技能継承の現状と課題に関する調査結果」2020年)。うまくいっていない理由の上位は「若年ものづくり人材を十分に確保できていない」です。

ベテランの技術は、言葉では説明しきれない部分が多くあります。金属加工の力加減、溶接のアーク長の調整、木材の「目」の見方。こうした暗黙知は、マニュアル化が困難なために、ベテランが退職すると失われてしまいます。

動画による解決: ベテラン社員の作業を動画で撮影し、ライブラリ化します。本人に作業のポイントを口頭で解説してもらいながら撮影すれば、「なぜこの力加減なのか」「どこを見て判断しているのか」といった暗黙知を映像に残すことができます。

動画での技能伝承は、暗黙知の完全な移転を保証するものではありません。しかし、テキストや写真のマニュアルでは残せない「動きのニュアンス」を記録できることは、現時点で最も現実的な方法の一つです。

制作のポイント: 技能伝承動画は、作業の全体像と手元のアップの2つのアングルで撮影します。ベテラン本人に「何を見ているか」「何に注意しているか」を作業しながら語ってもらうことで、映像の情報密度が上がります。1つの工程につき1本にまとめ、工程名で整理したライブラリを構築します。

なお、これらの動画は社内のDX推進を目的とした用途です。動画を社外向けの営業・マーケティングに活用する方法については、BtoB動画マーケティングの活用設計と始め方で解説しています。

動画DXを始めるための5ステップ — 中小企業の現実的な進め方

動画DXに取り組むことを決めても、いきなり「動画を作ろう」と制作会社に連絡するのは避けるべきです。目的が曖昧なまま制作に入ると、「作ったけれど現場で使われない」という結果になりかねません。ここでは、中小企業が動画DXを始めるための5つのステップを整理します。

ステップ1: 課題の棚卸し — どの業務で「伝わらない」が発生しているか

最初にやるべきことは、自社の業務の中で「伝わらない」「教えるのに時間がかかる」「毎回同じ説明を繰り返している」業務をリストアップすることです。全社的なDX戦略を描く必要はありません。現場の具体的な困りごとから始めます。

たとえば、以下のような問いに「はい」と答えられる業務がないか、確認してみてください。

  • 新人教育で、毎回ベテランがつきっきりで教えている作業はないか
  • 安全教育の内容が、教える人によってバラバラになっていないか
  • ベテラン社員が退職したら、引き継げない作業がないか
  • クライアントや元請に、現場の品質を説明するのに苦労していないか

ステップ2: 最初の1本を決める — 効果が見えやすいものから

リストアップした中から、最初に動画化する業務を1つ選びます。選ぶ基準は「効果が一番見えやすいもの」です。

具体的には、以下の優先度で判断します。

  1. 頻度が高い:
    毎日・毎週繰り返している業務(研修、安全教育の読み合わせなど)
  2. 担当者の負担が大きい:
    ベテランが教育に時間を取られている業務
  3. 品質のばらつきがある:
    担当者によって手順やレベルが異なる業務

最初から完璧な動画を目指す必要はありません。1本目で「動画にするとこんなに楽になるのか」と現場が実感できれば、2本目以降の社内合意が格段に取りやすくなります。

ステップ3: 撮影・制作 — 内製か外注かの判断

動画化する業務が決まったら、撮影と制作に入ります。ここで「自社で撮影するか、制作会社に外注するか」の判断が必要です。

内製が向いているケース: 社内に動画編集ができる社員がいる場合、またはスマートフォン撮影+簡易編集で十分な用途(日常の作業記録、簡単な手順説明など)。

外注が向いているケース: 撮影のアングルや照明に工夫が必要な場合(技能伝承動画のベテランの手元など)、社外にも共有する動画(施工記録、品質検査の記録など)、複数本をまとめて制作して体系化したい場合。

制作会社への外注を検討する場合は、動画制作会社の選び方も参考にしてください。

ステップ4: 運用と効果測定 — 作って終わりにしない

動画を制作したら、現場で実際に使ってもらい、効果を確認します。確認する指標の例は以下のとおりです。

  • 研修時間の変化:
    動画導入前後で、新人が一人前になるまでの期間は短くなったか
  • 教育の属人化:
    ベテランが教育に費やす時間は減ったか
  • 品質のばらつき:
    作業品質のムラは小さくなったか
  • 安全教育の理解度:
    KYテストの正答率や、ヒヤリハットの件数に変化はあるか

数値で厳密に測定できなくても、「現場の担当者が楽になったと感じているか」「動画を実際に見返しているか」を確認するだけでも十分です。

ステップ5: 横展開 — 成功した用途を他部門・他工程へ

1本目の動画で効果が確認できたら、同じ考え方を他の業務にも広げていきます。たとえば、製造部門で作業マニュアル動画が効果を上げたなら、品質管理部門の検査手順、出荷部門の梱包手順へと展開します。

この段階で初めて、「全社的なDX推進の一環として動画を活用している」と言える状態になります。最初から全体計画を描くのではなく、小さく始めて成果を積み上げるアプローチが、IT人材が限られた企業にとっては最も現実的です。

動画制作に活用できる補助金・助成金制度もあります。中小機構の調査では、DX推進に期待する支援策の1位が「補助金・助成金」で41.6%です(中小機構「中小企業のDX推進に関する調査(2024年)」)。動画制作に使える補助金制度の詳細や申請の流れについては、動画制作に使える補助金・助成金の種類と申請の流れで解説しています。

動画DXの制作費用と補助金の活用 — 費用ハードルを下げる方法

動画DXへの関心があっても、「費用がどのくらいかかるのか見当がつかない」という声は多く聞かれます。ここでは、前のセクションで紹介した4つのユースケースごとに、制作会社に外注した場合の費用の目安を整理します。

用途別の制作費用の目安

動画の用途 費用の目安(外注の場合) 内容
作業マニュアル動画(簡易) 5〜15万円/本 固定カメラ1台+字幕・ナレーション。手順がシンプルな作業向け
作業マニュアル動画(編集込み) 20〜80万円/本 複数アングル撮影+テロップ+ナレーション。複雑な工程の手順解説向け
安全教育動画(マニュアル形式) 5〜30万円/本 現場映像+字幕で危険箇所を解説する形式
安全教育動画(ドラマ形式) 80〜200万円/本 ヒヤリハット事例の再現映像。演出・キャストが必要なため高額
技能伝承動画 30〜80万円/本 ベテラン社員の作業を複数アングルで撮影し、口頭解説を収録

(費用の出典: 動画幹事ムビサクVideoWorks 各記事を参照し、複数ソースから整理)

費用は動画の尺、撮影場所の数、編集の作業量によって大きく変動します。上記はあくまで目安であり、制作会社から見積もりを取得した上で判断することをお勧めします。動画制作の見積もりの見方については、動画制作の費用相場と見積もりの見方で詳しく解説しています。

補助金を活用して費用を抑える

DX推進を目的とした動画制作には、国の補助金制度が活用できる場合があります。たとえば、小規模事業者持続化補助金では動画制作費が「ウェブサイト関連費」として補助対象になります。ただし、補助金には「交付決定前の契約は対象外」「後払い方式」などの独自ルールがあり、制作スケジュールに影響するため、事前に制度の仕組みを理解しておく必要があります。

補助金の種類、補助率、申請の流れの詳細は、動画制作に使える補助金・助成金の種類と申請の流れで制度ごとに比較しています。

動画DXで避けるべき3つの落とし穴 — 制作会社の視点から

動画DXに取り組む際、制作の現場でよく見かける失敗パターンがあります。ここでは、制作会社の視点から、中小企業が陥りやすい3つの落とし穴とその対策を整理します。

目的を定めずに「とりあえず動画を作る」

「DXに取り組んでいることを示したい」「上から動画を作れと言われた」といった理由で動画を制作すると、「作ったけれど誰も見ない」という結果になります。動画を作ること自体が目的になると、「何のために作るのか」「誰が、いつ、どう使うのか」が曖昧なまま進行し、現場で使われない動画ができ上がります。

対策: ステップ1の「課題の棚卸し」を必ず先に行い、「この業務課題を動画で解決する」という目的を1つに絞ってから制作に入ります。

1本で全てを伝えようとする

「せっかく動画を作るなら、あれもこれも入れたい」と考え、1本の動画に作業手順・安全注意事項・品質基準・トラブル対応を全て詰め込むケースがあります。結果として10分を超える動画になり、「見たい部分が探せない」「長すぎて見る気にならない」と現場で敬遠されます。

対策: 「1つの目的につき1本」が原則です。作業マニュアルなら「1工程1本」に分割し、工程名で整理したライブラリにします。1本あたりの尺は3〜5分を目安にします。

作って終わり — 更新の仕組みがない

動画を1本作って満足してしまい、作業手順の変更や設備の更新があっても動画を更新しないケースがあります。古い手順のままの動画が放置されると、現場での信頼性が失われ、「動画は当てにならない」と使われなくなります。

対策: 制作時に「いつ・誰が・どのタイミングで更新するか」のルールを決めておきます。年次の安全教育見直しに合わせて動画を更新する、作業手順の変更があったタイミングで該当動画を差し替える、といった仕組みをあらかじめ設計します。

まとめ — DXは動画1本から始められる

この記事では、DXの第一歩として動画を活用する方法を解説しました。要点を3つに整理します。

1. 中小企業のDXが進まない最大の理由は「何から始めるかわからない」こと。 IT人材が不足している現場産業の企業にとって、動画は最もハードルの低いDXの入口です。

2. 現場産業には、動画で解決できる業務課題が具体的にある。 作業マニュアルの標準化、安全教育の定着、施工記録のデジタル化、ベテランの技能伝承。いずれも動画によるデジタル化で改善が見込める領域です。

3. 小さく始めて効果を確認し、横展開する。 最初から全社的なDX計画を描く必要はありません。課題の棚卸し→最初の1本→運用→横展開の5ステップで、確実に進めることができます。

「自社のどの業務を動画化すべきか」は、業種や現場の状況によって異なります。StokedBaseでは、製造業や建設業などの現場産業を中心に映像コンテンツの企画・制作を行っています。自社の業務課題に動画がどう活用できるか、制作会社の視点からご提案します。まずはお気軽にご相談ください。

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