動画制作を外注するか、社内で内製するか。この判断で迷う企業は少なくありません。実は、動画制作を外注した企業の約79%が「失敗した」と感じているという調査結果があります。
出典: EXIDEA「動画制作の外注に関する実態調査」2022年
外注にも内製にもそれぞれ適したケースがあり、「どちらが正解」ではなく「何を作るかで選び分ける」のが失敗を防ぐ判断基準です。
この記事では、企業向けの映像制作を手がけるStokedBaseが、制作会社として外注を受ける側の視点から、外注と内製の判断基準を解説します。
目次
「外注と内製、どちらがいいのか」を一律に答えることはできません。動画の目的と用途によって、最適な選択は変わります。
プルークスが2024年に実施したBtoB動画制作の実態調査によると、動画制作の全工程を自社のみで行っている企業は約3割にとどまります。企画案は41.6%、撮影は39%、編集は32.1%の企業が外部に委託しており、多くの企業が「全て外注」でも「全て内製」でもなく、工程ごとに使い分けているのが実態です。
出典: プルークス「BtoB動画制作の実態調査」2024年
つまり、「外注か内製か」という二者択一で考えること自体が、判断の出発点として適切ではありません。「この動画は外注すべきか、内製で十分か」と動画の目的ごとに判断することが、失敗を避ける第一歩です。
外注が適しているのは、企業のブランドイメージに直結する動画です。採用動画、会社紹介動画、テレビCM、プロモーション動画など、社外に向けて公開する動画は、映像のクオリティが企業の印象を左右します。
こうした動画は、企画・構成・撮影・照明・編集・音声のそれぞれに専門技術が必要です。特に撮影は、カメラワークや照明設計で映像の印象が大きく変わるため、経験の浅い担当者が対応するとクオリティの差が出やすい工程です。
一方で、社内研修用のマニュアル動画、社内向けの報告動画、SNS用のショート動画など、更新頻度が高く即時性が求められる動画は、内製のほうが適しています。
これらの動画は「速く出すこと」が価値になります。外注すると企画から納品まで1〜2か月かかりますが、内製であれば撮影から公開まで数日で完結できます。映像のクオリティよりも、情報の鮮度やスピードが重要な場面です。
このセクションでは、外注のメリットとデメリットを、制作会社としての実務経験を踏まえて整理します。
内製化は「コストが下がる」「スピードが上がる」という面が注目されがちですが、それだけではありません。一方で、見落とされがちなコストもあります。
内製には「見えにくいコスト」があります。
外注を選択すること自体が問題なのではありません。問題は、「外注すべきかどうか」の判断と「外注する前の準備」にあります。
動画制作の外注に関する調査データを3つ紹介します。
EXIDEA社の調査(2022年、BtoB企業105名対象)では、79.0%が外注で「失敗経験がある」と回答しています。失敗理由の上位は「意図していたものとズレがあった」56.6%、「クリエイティブの質が低かった」51.8%です。
出典: EXIDEA「動画制作の外注に関する実態調査」2022年4月、PR TIMES
Lumii社の調査(BtoB企業対象)でも7割以上が外注で失敗を経験しており、失敗理由の最多は「動画のクオリティが低かった」55.8%です。
出典: Lumii「BtoBマーケティング動画制作実態調査」
さらに、一括.jp(株式会社eclore)の調査(2025年、企業担当者150名対象)では、トラブルの最多は「期待したクオリティに達していなかった」34.0%、次いで「担当者とのコミュニケーションがうまくいかなかった」30.7%です。
出典: 一括.jp「動画制作の外注に関する意識調査」2025年7月、DreamNews
失敗の一つ目のパターンは、「内製で十分な動画を外注してしまう」ケースです。
たとえば、社内研修用のマニュアル動画。操作手順や作業手順を記録するだけの動画に、企画費・撮影費・編集費を含めて50万円以上を支払うのは、費用対効果が合いません。スマートフォンで撮影し、無料の編集ソフトで字幕を入れるだけで十分に機能する動画も多くあります。
制作会社に依頼すれば確かにきれいな動画は仕上がりますが、「きれいである必要があるか」を判断せずに外注すると、不必要なコストが発生します。
逆のパターンもあります。採用動画や会社紹介動画など、企業のブランドイメージに直結する動画を「コスト削減のため」に内製しようとして、品質が出ないケースです。
採用動画は求職者が企業を評価する材料になります。映像の品質が低い動画は、「この会社は採用に力を入れていない」というメッセージを意図せず発信してしまう可能性があります。照明が暗い、音声が聞き取りにくい、構成がまとまっていないといった問題は、制作経験の浅い担当者が陥りやすいポイントです。
外注で失敗するパターンについて詳しくは「動画制作の失敗はなぜ起きる?原因と防ぎ方を制作会社が解説」で構造的に分析しています。
ここまでの内容を踏まえ、動画の種類別に外注と内製のどちらが適しているかを整理します。判断の軸は「ブランドイメージへの影響度」「制作頻度」「必要な技術レベル」「予算」の4つです。
| 動画の種類 | ブランド 影響度 |
制作頻度 | 技術 レベル |
推奨 |
|---|---|---|---|---|
| 採用動画 | 高い | 年1〜2回 | 高い | 外注 |
| 会社紹介動画 | 高い | 数年に1回 | 高い | 外注 |
| 商品・サービス 紹介動画 |
高い | 商品ごと | 中〜高い | 外注 |
| SNS用 ショート動画 |
中程度 | 週1〜数回 | 低〜中 | 内製 |
| 社内研修・ マニュアル動画 |
低い | 随時 | 低い | 内製 |
| セミナー・ イベント記録動画 |
低〜中 | イベントごと | 低〜中 | 内製 |
採用動画と会社紹介動画は、求職者や取引先が「この会社はどんな会社か」を判断する材料です。映像のクオリティがそのまま企業の印象になるため、プロの企画力と撮影技術を活用すべき領域です。
制作頻度も年に1〜2回程度と低いため、内製のために機材やスキルを準備するコストが見合いません。
SNS用のショート動画や社内研修動画は、速度と量が重要です。外注すると1本あたり数十万円のコストと数週間の納期がかかりますが、内製であればスマートフォン1台で撮影し、当日中に公開できます。
特にSNS動画は、完璧な映像よりも「リアルさ」や「親しみやすさ」が求められる場面が多く、むしろ内製のほうが適していることがあります。
自社の動画制作をどう進めるか具体的に相談したい方は、お気軽にお問い合わせください。StokedBaseでは、動画の目的や予算に応じて外注・内製の最適な進め方をご提案しています。
プルークスの調査データが示すとおり、多くの企業は「全て外注」でも「全て内製」でもなく、工程を分けて運用しています。
出典: プルークス「BtoB動画制作の実態調査」2024年(企画案41.6%、撮影39%、編集32.1%が外部委託)
このセクションでは、外注と内製を組み合わせる3つのパターンを紹介します。
最もシンプルなハイブリッド運用です。最初の1本を制作会社に依頼し、完成した動画の構成・撮影手法・編集方法を学んだ上で、2本目以降は社内で制作します。
たとえば社員インタビュー動画を定期的に制作する場合、1本目で制作会社が設計したフォーマット(質問項目・撮影アングル・編集テンプレート)を社内に引き継ぎ、以降は同じフォーマットで内製できます。
「何を作るか」は制作会社と一緒に設計し、「実際に作る作業」は社内で行うパターンです。
動画制作で最もクオリティに差が出るのは企画・構成の段階です。「誰に何を伝えるか」「どういう順番で見せるか」「どこで感情を動かすか」といった設計は、制作経験が問われます。一方、構成が固まった後の撮影と編集は、手順が明確であれば社内で対応できる場合があります。
工場や現場の日常風景など、タイミングを選ばずに撮影する必要がある素材は社内で撮り、編集だけを制作会社に依頼するパターンです。
現場の雰囲気やリアルな作業風景は、制作会社がスケジュールを組んで1日だけ撮影するよりも、現場にいる社員が日常的に撮影するほうが自然な映像が撮れます。その素材をプロが編集すれば、リアルさとクオリティを両立できます。
制作会社への依頼を含む運用を選んだ場合は、「動画制作を依頼する前に準備すべきこと」も参考にしてください。
動画制作を外注するか内製するかは、一律に答えが出る問題ではありません。この記事で解説した判断基準を振り返ります。
外注すべきかどうか迷っている方は、制作会社に直接相談するのも一つの方法です。StokedBaseでは、動画の目的や予算に応じて外注・内製の最適な進め方をご提案しています。制作会社の選び方について詳しくは「動画制作会社の選び方と失敗しないチェックポイント」で解説しています。