「採用動画を作りたいが、制作会社に何をどう伝えればいいかわからない」。採用動画の制作を検討する企業から、こうした声をよく聞きます。採用動画は「かっこいい映像を作ること」が目的ではなく、採用課題を解決する手段です。この記事では、制作会社への相談前に整理すべきこと、ヒアリングから納品までの制作フロー、工場や建設現場など現場産業ならではの撮影ポイントまで、映像制作の実務経験をもとに解説します。
目次
制作会社に問い合わせる前に、自社の中で整理しておくべきことがあります。完璧な企画書は不要です。ただし、以下の3点が曖昧なまま制作会社に相談すると、ヒアリングに時間がかかり、提案の精度も下がります。
最も重要なのは、動画で何を変えたいかです。「採用動画を作りたい」は手段であって目的ではありません。
目的によって、動画の内容も構成もまったく変わります。応募数を増やしたいなら会社の魅力を端的に伝える動画が必要ですし、辞退を減らしたいなら仕事のリアルな姿を見せる動画が効果的です。早期離職の原因と対策を把握した上で動画の目的を設定すると、制作の方向性がぶれません。
なお、採用動画の種類と選び方については別記事で詳しく解説しています。どんな動画が自社に合うかを事前に把握しておくと、制作会社との打ち合わせがスムーズになります。
制作会社が最初に確認するのは「どこで撮影できるか」「誰に出てもらえるか」です。事前に把握しておくと話が早くなります。
これらはヒアリングで必ず聞かれます。制作会社にとっては企画の前提条件になるため、曖昧なまま進めると後から「実は撮影できない場所だった」という手戻りが発生します。
「いつまでに完成させたいか」と「社内で誰がOKを出すか」を整理しておきます。
撮影日が決まってから納品までは2〜3週間で初稿が出るのが一般的です。ただし、撮影日の確定までに時間がかかるケースが多くあります。出演する社員のスケジュール調整や、現場の稼働状況との兼ね合いで、ヒアリングから撮影まで数週間〜1か月以上かかることも珍しくありません。
採用動画の制作は、大きく5つのステップで進みます。ここでは各ステップで「制作会社が何をするか」だけでなく、「発注側(人事や社長)が何を準備し、何を判断すべきか」に焦点を当てて解説します。
制作会社との最初の打ち合わせです。ここで制作の方向性が決まるため、制作プロセスの中で最も重要な工程と言えます。
制作会社が聞くこと:
発注側が準備すべきこと:
前のセクションで整理した3つの情報に加えて、「こういう動画が良いと思った」という参考動画をいくつか見つけておくと、イメージの共有がスムーズになります。YouTubeで同業種の採用動画を検索するだけで十分です。
ヒアリングの結果を踏まえて、制作会社から企画提案が出されます。動画のコンセプト、構成案、スケジュールが含まれるのが一般的です。
企画が固まったら、撮影に向けた具体的な設計に入ります。
発注側の判断ポイント:
台本やインタビュー質問は、制作会社が作成したものを「これで良いか」確認する形が多いです。ここで重要なのは、「求職者に何を伝えたいか」の優先順位を明確にすること。あれもこれも入れようとすると動画が長くなり、最後まで見てもらえなくなります。
構成に沿って、現場で撮影を行います。撮影日数は1日で完了するケースが多いですが、複数拠点での撮影や密着ドキュメンタリー形式の場合は複数日になることもあります。
撮影当日の流れ(1日撮影の場合の目安):
発注側がやること:
撮影中は制作会社のディレクターが進行を仕切りますが、社内の事情(「この機械は映してOKか」「この社員は顔出しNGか」など)を判断できる担当者が立ち会うことが重要です。
撮影素材をもとに、制作会社が編集を行います。撮影から2〜3週間程度で初稿(ラフ編集)が出るのが一般的です。
編集の流れ:
フィードバックのコツ:
完成した動画を受け取り、実際の採用活動に活用します。
納品物の確認:
活用先の設計:
動画は作って終わりではなく、どこに掲載してどう使うかまでが制作の範囲です。
制作会社によっては、採用サイトへの掲載設計やYouTubeチャンネルの運用まで対応できる会社もあります。納品後の活用まで見据えて相談すると、動画の効果を最大化しやすくなります。採用動画の効果については別記事で詳しく解説しています。
製造業、建設業、物流、ホテル・旅館などの現場産業では、オフィス企業とは異なる撮影上の課題があります。StokedBaseは現場産業の採用動画制作を多く手がけてきた経験から、特に重要なポイントを3つ解説します。
現場での撮影は、オフィスとは環境が大きく異なります。事前の段取りが撮影品質に直結します。
騒音対策:
工場のプレス機や建設現場の重機が稼働している環境では、インタビューの音声が拾えません。インタビューは休憩室や事務所など静かな場所で別撮りし、作業風景はインサート映像として撮影するのが現実的です。作業音そのものは臨場感のある素材になるため、意図的に収録することもあります。
安全管理:
工場や建設現場では、撮影クルーもヘルメットや安全靴の着用が必要です。事前に安全担当者と撮影ルートを確認し、立入禁止エリアや撮影NGの設備を把握しておきます。制作会社に事前に安全ルールを共有しておくと、当日のロスがなくなります。
照明の制約:
工場内は蛍光灯の色味が均一でなかったり、窓がなく暗い場所があったりします。撮影用の照明を持ち込むことで対応しますが、スペースの都合で大型機材が使えないこともあります。事前のロケハン(撮影場所の下見)で照明条件を確認しておくことが重要です。
現場で働く社員に動画への出演を依頼する際、「自分が映るのは嫌だ」「何を話せばいいかわからない」という反応は珍しくありません。出演への協力を得るためのポイントがあります。
目的を丁寧に説明する:
「なぜ採用動画を作るのか」「出演することで会社の採用にどう貢献するか」を具体的に説明します。「会社の命令だから」では協力を得にくいですが、「あなたの仕事を見て、この会社で働きたいと思ってくれる人が増える」と伝えると前向きになる社員が多いです。
台本を丸暗記させない:
インタビュー形式の場合、質問項目は事前に共有しますが、回答を台本として用意する必要はありません。自分の言葉で話してもらう方が、視聴者に伝わるリアリティが出ます。制作会社のディレクターが当日の会話の中で自然に話を引き出すので、出演者は「普段の仕事のことを話すだけ」と伝えると緊張がやわらぎます。
出演者の選び方:
話が上手い人を選ぶ必要はありません。むしろ、仕事に対する姿勢や想いが伝わる人が適任です。入社3〜5年目の社員は、仕事内容を理解しつつ入社時の気持ちも覚えているため、求職者が共感しやすい話ができることが多いです。
現場は「止められない仕事」が多いため、撮影のために業務を止めることは難しい場合があります。
撮影スケジュールの工夫:
現場責任者との事前調整:
撮影日程と撮影範囲を現場責任者に事前に共有し、「この時間帯にこのエリアで撮影する」と具体的に伝えます。当日になって「聞いていない」となるのが最もトラブルになりやすいパターンです。
撮影日数は1日で完了するケースが大半です。事前の段取りをしっかり行えば、業務への影響は最小限に抑えられます。
採用動画の制作会社は数多くありますが、「どこに頼んでも同じ」ではありません。制作会社との付き合い方のポイントを解説します。
制作会社に初めて問い合わせる際、以下の情報を伝えると提案の精度が上がります。
全てが決まっていなくても問題ありません。「目的は決まっているが、どんな動画にすればいいかわからない」という段階でも、制作会社側から企画を提案してもらえます。
制作会社からの提案には、企画・撮影・編集などの項目が含まれます。費用の詳細は「採用動画の費用相場」で解説しています。
制作開始前に、修正のルールを制作会社と確認しておきます。
これらを事前に取り決めておくことで、制作がスムーズに進み、想定外の追加支出も防げます。
StokedBaseが制作した採用動画の事例を紹介します。制作フローの具体的なイメージをつかむ参考にしてください。
大阪で金属加工を手がける榛木金属工業株式会社の採用動画です。社員密着と工場見学を組み合わせた構成で、日々の業務や働き方をリアルに描いています。工場内での撮影では、金属加工の作業音が大きいため、インタビューは事務所スペースで別撮りし、作業風景はインサート映像として撮影しました。
ドラッグストア・調剤薬局を展開する株式会社クリエイト エス・ディーの採用インタビュー動画です。事前に人事担当と質問内容をすり合わせた上で撮影を実施。店舗での業務風景をインサートで補足することで、求職者が働く様子を具体的にイメージできる内容にしています。
いずれの事例も、「現場のリアルな姿を見せる」ことを制作の軸にしています。飾った演出よりも、実際の仕事や職場環境をそのまま映す方が、求職者の信頼と共感につながります。
採用動画の制作は、以下の流れで進めます。
採用動画は「映像の品質」だけでなく、「何のために作るか」「どう使うか」まで設計することで、採用課題の解決につながります。
StokedBaseは製造業、建設業、ホテル業など現場産業の採用動画制作を多く手がけています。映像制作だけでなく、採用サイトやYouTubeチャンネルの運用まで、採用課題から逆算した最適な施策をご提案します。
「採用動画を検討しているが、何から始めればいいかわからない」という段階でもご相談ください。目的の整理から一緒に進めます。
採用動画の制作を含め、採用がうまくいかない根本原因は採用がうまくいかない本当の原因で体系的に分析しています。