「採用動画を検討しているが、費用がどれくらいかかるのかわからない」。求人広告に毎月コストをかけている中で、動画にどこまで予算を割くべきか判断がつかない方は多いはずです。
採用動画の費用は、種類・依頼先・尺によって10万円から500万円以上まで幅があります。この記事では、2026年時点の相場データをもとに、費用の決まり方・種類別レンジ・予算別の始め方・見積もりの見方までを整理します。
目次
採用動画の費用は「目的」「尺と本数」「依頼先」の3要素で決まります。まずこの構造を理解しておくと、あとで見積もりを比較する際の判断がしやすくなります。
採用動画の目的は大きく3パターンです。目的が違えば、必要な撮影日数・編集工数・尺が変わり、費用レンジも変わります。
認知目的の短尺なら10万〜50万円、社員インタビュー中心なら30万〜80万円、1日密着なら60万〜200万円が目安です。「何のために作るか」を決めないまま見積もりを取ると、金額の妥当性が判断できません。
動画が長くなるほど撮影時間と編集工数が増えるため、費用は上がります。
| 尺の目安 | 主な用途 | 費用への影響 |
|---|---|---|
| 15〜60秒 | SNS縦型ショート・サイトのファーストビュー | 撮影・編集ともにコンパクト |
| 1〜3分 | 社員インタビュー・職種紹介 | 標準的な制作ボリューム |
| 3〜5分 | 会社紹介・複数職種の紹介 | インタビュー人数分の工数追加 |
| 5〜30分 | 現場密着・座談会・YouTube長尺 | 撮影日数と編集量が大きく増加 |
「長い動画1本」より「短い動画3本」のほうが費用対効果が高い場合もあります。1本の長尺動画は途中で離脱されやすい一方、短尺を用途別に分ければ、それぞれの場面で活用できます。
誰が作るかによっても費用は大きく変わります。以下は制作会社系メディアの公開情報を統合したレンジです。
| 依頼先 | 費用の目安 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 自社内製 | 数万円〜(機材・ソフト代) | コストを最小化できる | 企画・撮影・編集の品質が担保しにくい |
| フリーランス | 10万〜50万円 | 柔軟な対応・単価が抑えられる | 企画・構成は自社で決める必要がある |
| 制作会社 | 30万〜500万円 | 企画から撮影・編集まで一括で任せられる | 費用は最も高い |
出典: ワンキャリア「採用動画の費用相場と料金内訳」、日本の人事部(proox)「採用動画の制作費用相場と内訳」、Crevo VIDEO SQUARE「採用動画の費用相場」
制作会社に依頼する場合の費用は、一般的に「ディレクション費」「企画費」「撮影費」「編集費」の合算です。ディレクション(全体の進行管理・方向性の設計)と企画(構成・台本)に費用がかかる分、費用は高くなります。その代わり「何を伝えるか」の設計から任せられるのがメリットです。
採用動画の効果や必要性については採用動画の効果をデータと事例で検証した記事で、種類ごとの特徴の違いは採用動画の種類と選び方で解説しています。
代表的な採用動画6種類について、複数の制作会社系メディアが公開している相場データを整理します。同じ種類でも各社で幅が異なるため、レンジは統合した中央値付近を採用しています。
Instagram・TikTok・YouTubeショート向けの15〜60秒の縦型動画です。近年は採用ターゲットが若年層の場合、この形式から着手する企業が増えています。
1本あたりの制作費が最も低く、複数本作りやすいのが特徴です。1回の撮影で複数本の素材を確保し、シリーズ化するのが一般的な使い方です。
YouTubeチャンネルで定期的に発信する採用コンテンツです。対談、Q&A、社内紹介など、撮影・編集ともにコンパクトな企画が中心になります。
3〜5本をまとめて依頼すれば、1本あたりの単価はさらに下がります。「まず1本作ってみたい」場合にも始めやすい形式です。
社員に仕事内容ややりがいを語ってもらう形式の動画です。採用動画で最もスタンダードな種類で、制作費も比較的抑えやすいのが特徴です。
費用が30万〜80万円と幅が出るのは、出演者の人数・撮影場所の数・編集の作り込み度合いで工数が変わるためです。1名・1拠点なら30万円台、複数名・複数拠点なら60万〜80万円が目安です。
企業の事業内容・理念・職場環境を総合的に紹介する動画です。採用サイトのトップページやファーストビューに配置されることが多く、企業の第一印象を左右します。
ナレーション収録やモーショングラフィックスを加えると費用は上がります。シンプルに社員の声と現場映像で構成する場合は50万〜80万円、演出を加える場合は80万〜120万円が目安です。
社員の1日に密着し、朝の出勤から退勤までの流れを追う長尺動画です。求人票では伝わらない「現場の空気感」をそのまま届けられるため、現場職の採用で効果的です。
密着日数が増えると費用は上がります。1日密着で60万〜120万円、3日以上の本格的なドキュメンタリー形式は150万〜200万円の水準です。仕事内容・職場の雰囲気・社員同士のやりとりまで映像で伝えられるため、入社後のミスマッチ防止に直結します。
企業の理念・世界観を映像作品として表現する動画です。ストーリー仕立てで演出を作り込むため、他の種類より費用は大きく上がります。
プロの俳優やアーティストを起用する場合、出演料・音楽ライセンス料が加算され500万円を超える案件もあります。中期の採用ブランド構築を目的とした投資の性質が強く、単発の応募獲得より企業イメージの醸成が主目的です。
業種によって適した動画の種類と予算感は変わります。制作会社系メディアと採用系メディアの記事、および実際の受注案件の傾向から整理すると、以下のような予算感になります。
| 業種 | 効果が出やすい種類 | 予算目安(初回) |
|---|---|---|
| 製造業・工場系 | 密着ドキュメンタリー・現場紹介 | 60万〜150万円 |
| 物流・建設 | 密着ドキュメンタリー・社員インタビュー | 60万〜150万円 |
| IT・エンジニア職 | 社員インタビュー・座談会・YouTube長尺 | 30万〜100万円 |
| ホテル・小売・サービス | 会社紹介・職種紹介 | 50万〜120万円 |
| コーポレート採用(ブランド重視) | 会社紹介・ブランディング | 100万〜300万円 |
現場職・専門職では「仕事の実態が見えないから応募しない」という辞退理由が多く、密着・現場紹介型の動画が費用対効果を出しやすい傾向があります。業種別の具体的な事例と選び方は、製造業の採用動画事例、IT企業の採用動画事例、建設業の採用課題と対策で解説しています。密着型の動画そのものの特徴は密着ドキュメンタリー動画の効果と作り方を参照してください。
ストークベースが手がけた製造・物流・ホテル・小売各業種の実案件は制作実績ページにまとめています。
同じ「動画」でも、映像作品として作り込む「ブランディング映像」とYouTube向けに継続発信する「YouTube動画」では費用構造が異なります。ここを混同すると、見積もりの高低の理由が判断できません。
ブランディング映像は、採用サイトのファーストビューや会社説明会で使う、企業の世界観を伝えるための映像です。
費用が高くなる理由は、「見せ方」への工数が大きいからです。伝える情報量よりも、映像としての完成度・ブランドイメージの表現に重点を置きます。
YouTube動画は、対談やQ&Aなどの短尺企画から、1日密着のような長尺コンテンツまで含みます。
費用を抑えられる理由は、映像の「完成度」よりも「伝える情報の量と質」を優先するからです。照明を作り込む代わりに社員の自然な表情を優先する。カラーグレーディングに時間をかける代わりに、テロップで情報を補足する。「何に工数をかけるか」の優先順位が違います。
予算が限られている場合は、YouTube動画から始めるのが現実的です。
理由は3つあります。
ブランディング映像は、YouTube動画で採用コンテンツの効果を実感してから検討しても遅くありません。「まず動画を1本作ってみる」なら、YouTube動画が最も始めやすい選択肢です。
同じ内容の動画でも、発注の仕方によって費用は2〜3割変わります。制作会社の見積もりを比較する前に、以下の5点を押さえておくと予算内で最大の効果を出しやすくなります。
撮影は日数単位で費用が発生します。1日拘束と2日拘束では、機材・スタッフの人件費が単純に倍近くになります。複数の動画を作る場合も、同じロケ地で撮影できる企画をまとめて1日に集約すると、1本あたりの単価が下がります。
俳優・モデルを起用すると出演料・キャスティング費用がかかります。社員に出演してもらえば、これらの費用は不要です。加えて、視聴者に「実際に働いている人の言葉」として届くため、採用動画の目的にも合致します。
「せっかく作るから盛り込みたい」で尺が伸びると、編集費用も増えます。かつ、視聴完了率も下がります。伝えたいことを1本で全部やらず、テーマ別に短尺で分けたほうが結果的に費用対効果が上がります。
ナレーター起用、オリジナル楽曲制作、モーショングラフィックスは費用を押し上げる要因です。社員の声で完結させる・ロイヤリティフリー音源を使う・シンプルなテロップで済ませるなど、映像の完成度への投資を目的に応じて絞ると、10万〜50万円単位で調整できます。
3〜5本をまとめて発注すると、1本あたりの企画・ディレクション費が下がります。単発発注では1本ごとに毎回打ち合わせが発生しますが、シリーズ発注なら初回の設計を流用できるため、2本目以降の単価が下がる制作会社が多くあります。
「動画を作る予算があるなら、求人広告に回したほうが確実では」と考える方もいるかもしれません。ここでは、求人広告と採用動画の費用構造の違いを整理します。
求人広告と採用動画は、費用のかかり方が根本的に異なります。
| 項目 | 求人広告 | 採用動画 |
|---|---|---|
| 費用の性質 | 掲載ごとに費用が発生(ランニングコスト) | 制作時に一括(初期投資) |
| 使用期間 | 掲載期間のみ(1〜4週間が一般的) | 一度作れば数年単位で活用可能 |
| 掲載終了後 | コンテンツは消える | 手元に残り、繰り返し使える |
求人広告に月15万円をかけている場合、年間で180万円の支出です。掲載が終われば、そのコンテンツは消えます。同じ予算で複数本の採用動画を制作すれば、2〜3年にわたって活用できます。
求人広告は掲載先の媒体でしか見られません。一方、採用動画は複数の場面で使えます。
使う場面が増えるほど、1回あたりのコストは下がっていきます。特に年間を通じて採用を行っている企業は、長期的なコストメリットが出やすい手段です。
費用対効果を考える際に見落としがちなのが、採用後のコストです。
エン・ジャパンの調査(2025年、n=291社)では、早期離職の要因1位は「仕事内容のミスマッチ」(57%)でした。入社3ヶ月以内に辞められた場合、採用にかけた広告費・面接の工数・研修費が全て無駄になります。
採用動画で現場のリアルを事前に見せることは、このミスマッチを減らす手段になります。「求人広告の費用 vs 動画の費用」ではなく、「ミスマッチによる隠れコストを含めた採用コスト全体」で比較するのが適切な考え方です。
ただし、採用動画は求人広告の代わりではありません。求人広告で露出を確保し、動画で情報の深さを補う。この組み合わせが現実的な運用方法です。制作の流れは採用動画の準備から納品までの進め方で解説しています。
「実際にいくらの予算で何ができるのか」を3段階で整理します。自社の予算に合った始め方の参考にしてください。
作るもの: YouTube向け短尺動画1〜2本、またはSNS縦型ショート2〜3本
「まず1本作ってみたい」場合の最初のステップです。最も採用ニーズの高い職種にフォーカスし、社員の日常や仕事の中身を伝える動画を制作します。
まず1本で効果を確かめてから、追加制作を検討するのが無理のない進め方です。
作るもの: 社員インタビュー動画1本 + 密着ドキュメンタリー1本 + 短尺YouTube動画1〜2本
職種別に複数の動画を揃え、求職者が「自分に近い職種の動画」を選んで見られる状態を作ります。
複数本をまとめて制作することで1本あたりの単価を下げられます。撮影日を1〜2日にまとめる、同じ場所で複数の企画を撮るなどの工夫で効率化が可能です。
作るもの: ブランディング映像 + 社員インタビュー + YouTube動画 + 採用サイト連動
採用プロセス全体を映像でカバーする設計です。採用サイト・YouTube・ブランディング映像を一貫したトーンで制作し、求職者が情報収集する各段階に対応するコンテンツを揃えます。
この規模のプロジェクトでは「何を作るか」だけでなく「どう配置し、どう運用するか」まで含めた設計が重要です。制作会社に相談する際は、動画の制作だけでなく活用の設計まで相談できるかを確認してください。制作会社を比較する際の判断軸は採用動画の制作会社の比較と選び方にまとめています。
複数の制作会社から見積もりを取ったとき、金額だけを比較するのは危険です。同じ金額でも中身が違うことがよくあります。以下の5項目を必ず確認してください。
同じ「50万円」でも、企画から丸投げできる会社と、企画は発注側で用意する必要がある会社では、実質的なコストが変わります。相見積もりを取る際は、上記の5項目を各社に統一フォーマットで質問すると比較がしやすくなります。
採用動画の費用について、種類別の相場・依頼先別の目安・予算別の始め方を整理しました。要点を3つにまとめます。
採用課題の全体像は採用がうまくいかない本当の原因、採用動画の効果検証は採用動画の効果とはで構造的に解説しています。