「動画を活用したほうがいいとは思っているが、自社にどんな動画が必要なのかがわからない」。企業の動画活用を検討する方から、こうした声をよく聞きます。「動画活用」と検索すると活用シーンの一覧は見つかりますが、自社の課題に合った動画の選び方を示した記事はほとんどありません。この記事では、企業が動画を活用する目的を4つの課題領域に整理し、「自社の課題に、どの種類の動画が効くのか」を判断するためのフレームワークを提示します。各用途の詳しい解説は個別の記事に委ねていますので、全体像をつかんだうえで自社に合った記事へ進んでください。
目次
動画を検討し始めたとき、多くの方がまず「どんな動画を作るか」から考えます。しかし、制作の現場で見てきた経験から言えるのは、最初に考えるべきは動画の種類ではなく「自社が何を解決したいか」です。目的が曖昧なまま制作に入ると、完成した動画が社内のパソコンに眠ったまま使われないケースが少なくありません。
動画活用の出発点として、以下の3つの問いを整理してください。
1. 動画で解決したい課題は何か。 「応募が集まらない」「営業で製品の強みが伝わらない」「会社の知名度が低い」「教育に時間がかかる」。動画は万能ではなく、課題ごとに効果を発揮する動画の種類が異なります。
2. その情報を届けたい相手は誰か。 求職者に届けたいのか、取引先に見せたいのか、一般消費者に向けるのか、社内の従業員に見せるのか。届け先によって、動画の内容も配信先も変わります。
3. どこでその動画を使うか。 自社のホームページに載せるのか、YouTubeで公開するのか、商談の場で見せるのか、展示会で流すのか、社内研修で使うのか。使う場所を制作前に決めておくことで、動画の尺や構成が自然に定まります。
この3つが定まれば、次のセクションで紹介する「課題別の動画用途マップ」で、自社に必要な動画の種類を判断できます。
企業が動画を活用する目的は多岐にわたりますが、現場産業の企業が抱える課題は大きく4つの領域に集約されます。ここでは、課題ごとに「どの種類の動画が効くか」を対応づけた判定フレームワークを提示します。
以下のテーブルから、自社の課題に近い行を探してください。対応する動画の種類と、詳しい解説記事へのリンクを一覧にしています。
| 課題領域 | よくある悩み | 効果的な動画の種類 | 詳しい解説 |
|---|---|---|---|
| 採用 | 応募が集まらない、ミスマッチが多い、内定辞退が続く | 採用動画、密着動画、社員インタビュー動画 | 採用動画の効果を事例で検証、採用動画のトレンドと事例 |
| 営業 | 製品の良さが伝わらない、営業の説明が属人化している | 営業動画、BtoB動画、HP掲載動画 | 営業動画の活用方法、BtoB動画マーケティング入門 |
| ブランド認知 | 知名度がない、他社との違いが伝わらない | ブランディング動画、PR動画、HP掲載動画 | ブランディング動画の作り方、PR動画の作り方 |
| 業務効率化 | 教育に時間がかかる、ノウハウが特定の人に偏っている | マニュアル動画、安全教育動画、技能伝承動画 | 動画でDXを推進する方法 |
このテーブルは「どの動画を作るか」を選ぶ地図です。自社の課題が複数の領域にまたがる場合は、最も差し迫っている課題から着手することを推奨します。1本目で効果を確認してから、次の領域に広げていくほうが投資判断がしやすくなります。
求人広告に投資しているのに応募が集まらない。応募はあるが面接で辞退される。入社しても半年で辞めてしまう。こうした採用課題の背景には、「求職者が働くイメージを持てない」という情報不足の問題があります。
製造業の工場、物流の倉庫、建設の現場、ホテルの裏方。こうした現場の仕事は、求人票のテキストだけでは実態が伝わりません。採用動画や密着動画で現場の空気感や働く人の姿を映像にすることで、求職者が「この会社で働く自分」を具体的にイメージできるようになります。
ストークベースが榛木金属工業の採用動画を制作した際、求人票の「プレス加工」という一言では伝わらない「ものづくりの手応え」が、工場内の映像なら数秒で伝わることを実感しました。東武ホテルマネジメントの採用動画では、フロント職だけでなく複数の職種を紹介することで、ホテルで働くイメージを広げる設計にしています。
採用動画の効果を事例で検証した記事では、動画を活用することで応募率や内定承諾率がどう変わるかを具体的に解説しています。採用動画のトレンドと事例では、最新の採用動画の種類と選び方を紹介しています。
カタログや提案書だけでは製品の良さが伝わらない。営業担当者によって説明の質がバラつく。商談のたびに同じ説明を繰り返している。こうした営業課題に対して、動画は2つの効果を発揮します。
1つは、テキストや写真では伝えきれない情報の補完です。工場の加工精度、倉庫のオペレーション体制、施工の流れは、実際に映像で見てもらうほうが正確に伝わります。もう1つは、営業品質の標準化です。伝えるべきポイントが映像で固定されるため、誰が商談に行っても一定水準の情報を届けられます。
BtoBの購買プロセスでは意思決定者の約70%が購買過程で動画を視聴しているというデータもあります(Google調査)。営業動画の活用方法で営業の各フェーズでの動画活用を、BtoB動画マーケティング入門で動画マーケティング全体の設計を解説しています。
自社のホームページに動画を掲載して営業ツールとして活用する方法は、ホームページに動画を載せる効果で詳しく取り上げています。
大手と比べて知名度がない。自社の理念や強みが取引先や求職者に伝わっていない。こうしたブランド認知の課題には、ブランディング動画やPR動画が有効です。
ブランディング動画は、企業の理念や世界観を映像で表現し、視聴者に企業の価値観を伝える動画です。直接的な問い合わせにはつながりにくいものの、採用・営業・社内など複数の接点で一貫したメッセージを届けられるのが強みです。PR動画は、特定の商品やサービスの価値にフォーカスして訴求する動画で、ブランディング動画より短期的な効果を狙いやすい傾向があります。
Wyzowlの調査(「Video Marketing Statistics 2026」n=266)では、マーケターの93%が「動画はブランド認知度を向上させる」と回答しています。ストークベースがMICの40周年記念ブランディング動画を制作した際は、社外への発信だけでなく、社内のコンセプト共有にも活用されました。社員の半数以上が入社5年未満という組織で、「これからの会社をどう目指していくか」を映像で共有することが、組織の一体感づくりにつながっています。ブランディング動画は対外的な認知だけでなく、インナーブランディングにも機能します。
ブランディング動画のコンセプト設計ではコンセプトの言語化から制作の進め方までを、PR動画の作り方では目的設計から費用感までを解説しています。
ホームページのトップページにPR動画やブランディング動画を配置する活用方法については、ホームページに動画を載せる効果もあわせてご確認ください。
新人教育にベテラン社員がつきっきりになっている。安全教育の内容が担当者によってバラバラ。長年の経験で培った技術が特定の社員の頭の中にしかない。こうした業務効率化の課題は、現場産業で特に深刻です。
作業マニュアルの動画化は、DX(デジタルトランスフォーメーション)の第一歩として取り組みやすい施策です。IT人材がいなくても始められ、効果が目に見えやすく、次のデジタル化施策への布石にもなります。中小機構の調査(2024年)では、DXに取り組む予定がない企業の27.2%が「何から始めればよいかわからない」と回答しており、「動画から始めるDX」は実務的な解決策として有効です。
動画でDXを推進する方法で、作業マニュアル・安全教育・技能伝承の動画化について、具体的なユースケースと制作のポイントを解説しています。
ここまで課題別の動画の選び方を解説してきましたが、同じ種類の動画を作っても、成果が出る企業とそうでない企業があります。制作の現場で多くの企業と仕事をしてきた中で見えてきた、成果の分かれ目を構造的に整理します。
1. 動画の「目的」と「届け先」が明確。 「何のために」「誰に向けて」が最初に定まっている企業は、企画から納品までの意思決定がスムーズです。「採用のために、求職者に向けて、採用サイトで配信する」のように具体的であるほど、制作チームが適切な構成と演出を設計できます。
2. 動画を作った後の「使い方」まで設計している。 動画は作っただけでは効果が出ません。どのページに掲載するか、商談のどの場面で見せるか、メールに添付するか。動画の配信先と活用シーンを制作前に決めている企業は、完成した動画がすぐに営業や採用の実務で使われます。ストークベースがシンワ・アクティブの会社紹介動画を制作した際も、採用説明会・Webサイト・パンフレットのQRコードと、1本の動画を複数チャネルで展開する設計を前提に企画しました。
3. 最初の1本で完璧を求めず、段階的に拡張している。 1本目は予算を抑えて効果を検証し、成果が確認できたら次の動画に投資する。この段階的なアプローチを取る企業は、リスクを抑えながら動画の活用範囲を広げていけます。シンワ・アクティブでは、採用プロモーション動画からスタートし、その後YouTubeチャンネルでの継続運用、会社紹介動画、ブランディング動画、採用サイトと、段階的に映像の活用範囲を広げています。
1. 「とりあえず動画を作りたい」で目的が不在。 動画がトレンドだから、競合が作っているから。こうした理由で制作に入ると、「誰に」「何のために」が曖昧なまま撮影が進み、完成した動画の使い道が定まりません。
2. 動画を作って満足し、配信・活用しない。 動画の制作自体がゴールになってしまうパターンです。完成した動画がホームページにも採用サイトにも掲載されず、営業でも使われない。動画の効果は「作る」ではなく「届ける」で生まれます。
3. 1本に全てを詰め込もうとする。 会社紹介も、採用も、商品紹介も、全てを1本の動画で伝えようとするケースです。情報が散漫になり、結局「何を伝えたかったのか」が視聴者に残りません。目的ごとに動画を分けるほうが、それぞれのターゲットに的確に届きます。
動画の活用を検討する際に、費用感がわからないことが検討を止める原因になることがあります。ここでは、用途別の費用レンジの全体像を整理し、初めて動画を制作する企業が予算を考える際の判断材料を提示します。
動画制作の費用は、動画の種類・尺・撮影規模・編集の作り込み度合いによって変動します。以下は、制作会社に外注した場合の一般的な費用レンジです。
| 動画の用途 | 費用の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 営業動画(商品紹介・現場紹介) | 50〜150万円 | 企画から撮影・編集まで一括。尺1〜3分 |
| 採用動画(インタビュー型) | 30〜80万円 | 社員インタビュー中心。撮影1日 |
| 採用動画(密着型) | 80〜150万円 | 1日密着撮影。複数シーン・編集工数大 |
| ブランディング動画 | 50〜200万円 | 演出の複雑さで幅大。1〜3分 |
| PR動画 | 30〜150万円 | 対象や配信先で変動 |
| HP用動画(トップページ短尺) | 10〜80万円 | 既存素材の編集なら低コスト |
| マニュアル・教育動画 | 5〜80万円/本 | 手順の複雑さで変動 |
動画制作全体の市場では、制作会社への平均発注額が81.5万円、中央値が54万円というデータがあります(動画幹事 発注データ調査)。「まず1本試してみたい」場合は、30〜50万円の予算帯から始めることも現実的です。費用の内訳や見積もりの読み方については、動画制作の費用相場と見積もりの見方で詳しく解説しています。
動画制作には国の補助金制度を活用できる場合があります。小規模事業者持続化補助金をはじめとする4つの制度で、制作費の一部を補助金でまかなえる可能性があります。ただし、補助金には「交付決定前に制作会社と契約すると対象外になる」といった独自のルールがあり、申請手順の理解が必要です。
動画制作に使える補助金4制度を比較した記事で、制度ごとの補助率・上限額・注意点を整理しています。費用がネックになっている場合は、補助金の活用も選択肢に含めて検討してください。
自社の課題に合った動画の企画・費用感を無料でご相談いただけます。お問い合わせはこちら
記事を読んで「自社でも動画を活用してみたい」と思ったときに、次に何をすべきかを3つのステップで整理します。
ステップ1: 自社の課題を特定する。 前述の「3つの問い」と「課題別の動画用途マップ」を使って、自社が今最も解決したい課題と、それに対応する動画の種類を絞り込んでください。複数の課題がある場合は、最も差し迫っているものを1つ選びます。
ステップ2: 該当する用途の詳細記事を読む。 動画用途マップで特定した動画の種類について、対応する解説記事を読んでください。各記事では、その用途の動画がどのように効果を発揮するのか、制作のポイント、費用の目安を具体的に解説しています。
ステップ3: 制作会社に相談して企画を具体化する。 課題と動画の方向性が見えてきたら、制作会社に相談してください。相談の段階で費用が発生することは通常ありません。課題と目的を伝えれば、制作会社が企画の方向性と見積もりを提案します。動画制作会社の選び方も、制作会社を選ぶ際の参考になります。
企業の動画活用について、課題別の動画用途マップを中心に解説しました。
1. 動画の種類を選ぶ前に、解決したい課題を明確にする。 「どんな動画を作るか」の前に「何を解決したいか」を定めることが、動画活用の出発点です。
2. 課題に合った動画の種類は、判定フレームワークで特定できる。 採用・営業・ブランド認知・業務効率化の4領域ごとに、効果的な動画の種類は異なります。
3. 1本目は小さく始めて効果を検証し、段階的に広げる。 最初から全てを動画化する必要はありません。最も優先度の高い課題に対応する1本から始め、効果を確認してから次の投資を判断してください。
ストークベースは、製造業・物流・建設・ホテルなど現場産業の企業を中心に、動画の企画設計から制作・活用支援までを手がけています。「自社の課題にどんな動画が合うかを相談したい」という段階からお気軽にご連絡ください。