建設業の採用が難しい本当の理由|改善しているのに届かない情報の壁

建設業の採用が難しい本当の理由|改善しているのに届かない情報の壁
建設業の採用が難しい原因をデータで整理。2024年問題で労働環境は変わりつつあるのに応募が増えない理由と、求職者に「現場の情報」を届ける5つの改善策を解説します。

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「労働環境を改善した。週休2日にした。給与も上げた。それでも応募が来ない」。建設業の経営者や採用担当者から、こうした声を聞くことが増えました。建設業の有効求人倍率は5.18倍。求職者1人を5社以上が奪い合う状態が続いています(厚生労働省「一般職業紹介状況」2025年10月)。2024年4月の時間外労働上限規制を機に、多くの企業が本気で労働環境の改善に取り組み始めました。しかし、改善した企業ほど感じるはずです。「良くなったのに、なぜ伝わらないのか」と。この記事では、建設業の採用が難しい構造的な理由を整理した上で、「改善」と「伝達」のあいだにある見えない壁について解説します。

有効求人倍率5.18倍 — 建設業の採用はなぜここまで難しいのか

まず、建設業の採用がどれほど厳しい状況にあるかをデータで確認します。

求職者1人を5社以上が奪い合う構造

厚生労働省「一般職業紹介状況」(2025年10月)によると、建設業全体の有効求人倍率は5.18倍です。全産業平均の約1.2倍と比較すると、その差は歴然です。

職種 有効求人倍率
全産業平均 約1.2倍
建設業全体 5.18倍
土木 6.63倍
躯体工事 8.01倍

出典: 厚生労働省「一般職業紹介状況」2025年10月

躯体工事の8.01倍は、求職者1人を8社以上が取り合う状態です。「求人を出せば誰か来る」という前提はすでに崩れています。

さらに、国土交通省の資料によると、建設業の就業者数は1997年の685万人から2023年には483万人へと30%減少。年齢構成を見ると、55歳以上が約37%を占める一方、29歳以下はわずか約12%です(国土交通省資料、2024年時点)。今後10年で就業者の3分の1以上が退職年齢を迎えるのに、それを補う若手が圧倒的に不足しています。

この数字は「採用の工夫」だけでは越えられない構造的な問題を示しています。人手不足は工期の遅延や品質の低下に直結し、採用は経営課題そのものです。

2024年問題で変わった建設業、変わっていない採用

建設業界は、変わろうとしています。問題は、その変化が採用の結果に結びついていないことです。

週休2日・残業削減に取り組む企業は確実に増えている

2024年4月、建設業にも時間外労働の上限規制(いわゆる2024年問題)が適用されました。これを機に、多くの企業が労働時間の短縮や週休2日制の導入に本格的に取り組み始めています。

国土交通省および日本建設業連合会の資料によると、建設業の年間労働時間は全産業平均より約230時間多いとされてきました。月換算で約19時間、月に2〜3日分の差です。この差を縮めるべく、4週8休の実現やICTによる施工効率化を進める企業が増えています。

3Kイメージに対しても改善の動きがあります。野原ホールディングスが2023年に大学生1,000名を対象に行った調査では、建設業のマイナスイメージ1位は「残業・休日出勤が多い」(36.4%)でした。しかし同じ調査で、プラスイメージ1位は「スキルが身につく」(34.8%)です。建設業には、伝われば響く魅力がすでにあります。

野原ホールディングス 建設業イメージ調査2023 大学生1,000名対象 志望率15.6% マイナスイメージ36.4%
出典: 野原ホールディングス「建設業についての印象調査」2023年

それでも応募が増えない — 「改善」と「伝達」のギャップ

労働環境を改善しても、その事実が求職者の目に触れなければ、応募にはつながりません。

週休2日を実現した企業が、求人票にそれを書いていないケースは珍しくありません。書いていても、「本当に?」と疑われるだけの情報しかなければ、信頼されません。採用サイトが何年も更新されていなければ、改善前の印象がそのまま残ります。

ここに、建設業の採用が難しい本質的な問題があります。「良い会社になった」と「良い会社だと知られている」は、まったく別の問題です。待遇改善に全力で取り組んでいる企業ほど、このギャップに気づいています。改善のための投資は進んでいるのに、「伝える」ための投資が追いついていないのです。

では、求職者には具体的に何が見えていないのか。次のセクションで掘り下げます。

求職者には建設現場の何が見えていないのか

「応募が来ない」「面接後に辞退される」「入社しても半年で辞める」。これらは別々の問題のように見えますが、根を辿ると共通の構造にたどり着きます。求職者が建設現場のリアルを知る手段がほとんどない、という問題です。

求人票の「型枠大工」では何もイメージできない

建設業の求人票を開くと、仕事内容の欄には「型枠大工」「鉄筋工」「土木作業」と書かれています。建設業の経験者なら仕事のイメージが湧くかもしれません。しかし、未経験の求職者にとっては、これらの言葉から具体的な仕事の姿を描くことは困難です。

飲食店やオフィスワークなら、日常生活の中で働く人の姿を目にする機会があります。しかし建設現場は違います。工事フェンスの向こうで何が行われているのか、通りすがりの求職者には見えません。

しかも建設業には、製造業の工場以上に「見えにくい」特殊性があります。現場はプロジェクトごとに変わります。 完成すればそこにあった現場自体がなくなります。固定された工場と違い、「この場所で働きます」と見せること自体が難しい構造なのです。

「求人情報と違った」— 辞退と離職の引き金

この「見えなさ」は、採用プロセスの各段階で問題を引き起こしています。

エン・ジャパンが2023年に8,000人超を対象に行った調査では、面接後の辞退理由の1位は「求人情報と話が違った」(49%)でした。これは建設業に限った数字ではありませんが、「現場が見えない」業種ほどこのギャップは大きくなります。

エン・ジャパン調査 面接後の選考辞退理由 1位 求人情報と話が違った49%
出典: エン・ジャパン「選考辞退」についてアンケート 2023年(n=8,622)

入社後も同様です。アスタースク社の調査(PR TIMES掲載)によると、入社前後で会社イメージの違いを感じた人は65.3%に上り、退職理由の1位は「人間関係」(26.3%)、2位は「社風が合わなかった」(26.1%)でした。入社前に知り得た情報と現場の実態との差が、離職の引き金になっています。

アスタースク調査 入社前後で会社イメージの違いを感じた人65.3%
出典: アスタースク「入社前後のギャップ」に関する調査(PR TIMES掲載)
アスタースク調査 退職理由 1位 人間関係26.3% 2位 社風が合わなかった26.1%
出典: アスタースク「入社前後のギャップ」に関する調査(PR TIMES掲載)

さらに深刻なデータがあります。厚生労働省の調査によると、建設業における高卒就職者の3年以内離職率は43.2%です(2021年3月卒)。10人採用しても3年以内に4人以上が辞める計算です。採用にかけた時間とコスト、教育に投じた工数がそのまま失われ、残った社員の負担が増え、さらに離職が進む悪循環に陥ります。

3つの段階で繰り返される「情報が足りない」

これらのデータを段階ごとに整理すると、共通の構造が浮かび上がります。

段階 何が起きているか データ
応募前 仕事の中身がわからず、
候補から外す
建設業への就職志望率15.6%
(野原HD調査 2023年、n=1,000)
面接後 求人情報と実態の差に気づき、
辞退する
辞退理由1位「求人情報と話が違った」49%
(エン・ジャパン 2023年、n=8,622)
入社後 イメージと現実のギャップで
離職する
イメージの違いを感じた65.3%
(アスタースク調査)

応募・選考・定着のすべての段階で、「事前に得られる情報」と「現場の実態」とのギャップが問題の中心にあります。

建設業の採用課題は「待遇が悪いから人が来ない」だけではありません。待遇を改善しても、その改善を含めた現場の実態が求職者に届いていない。これが、冒頭で触れた「改善しているのに伝わらない」の正体です。

「伝わる採用」に切り替えた企業がやっていること

では、「伝わらない」をどう解消するか。万能の一手はありませんが、自社の状況に合わせて複数の施策を組み合わせることで、確実に状況は動かせます。ここでは5つの実践的なアプローチを紹介します。

① 求人票を「未経験者が読んでわかる」レベルに書き直す

最もコストが低く、今日から始められるアプローチです。

建設業の求人票は「型枠大工」「土木作業全般」といった抽象的な記載になりがちです。これを未経験者にも伝わるレベルに具体化します。

  • 職種名を「動詞」で説明する
    「型枠大工」→「建物のコンクリートを流し込む型を、木材を使って組み立てる仕事です。まずは先輩の補助からスタートします」
  • 1日の流れを時系列で記載する
    7:30現場集合→8:00朝礼→8:15作業開始→12:00昼休憩→…と具体的に
  • 現場の写真を複数枚掲載する
    作業風景、使う道具、休憩スペース、通勤車両など
  • 先輩社員の声を載せる
    入社の動機、実際にやっている仕事、働いてみて感じたこと

費用はほとんどかかりません。それだけでも「何をする仕事か」の解像度は大きく変わります。テキストと写真でできる改善をまず行い、それでも伝えきれない部分を他の手段で補う、という順序が現実的です。

② 労働環境の改善を「証拠付き」で発信する

2024年問題への対応で労働環境を改善した企業は、その事実を求人票に書くだけでは不十分です。「証拠」として伝わる形で発信する必要があります。

「完全週休2日制を導入した」なら、実際のカレンダーを採用ページに掲載する。「残業を月20時間以下に削減した」なら、過去1年間の実績データを示す。写真や動画で実際の退勤時間の様子を見せる。

言葉で「改善しました」と書くだけでは、求職者は信じません。他の企業も同じことを書いているからです。改善を「事実」から「証拠」に変換して発信することで、初めて求職者の判断材料になります。

③ インターンシップ・現場見学で「実物」を見せる

「現場のリアルを伝える」という目的に対して、最も直接的なアプローチです。

建設業振興基金の情報によると、工業高校生の約7割が建設業への就職を志望しているとされています(クラフトバンク記事引用)。工業高校はすでに建設業に関心を持つ層が集まっている場です。この層にインターンシップや現場見学で接点を作ることは、応募数の増加に直結する手段です。

実際に、ダイニッセイは新卒採用の強化にあたってインターンシップを積極的に活用しています(クラフトバンク記事で紹介)。また、田中建興は月一度の新入社員研修会を実施し、入社後の育成体制を整えることで定着率の向上に取り組んでいます(同記事)。

現場を直接見てもらうことで、3Kイメージと実態の差を体験として理解してもらえます。ただし、求職者が物理的に現場まで足を運ぶ必要がある点、一度に対応できる人数に限りがある点、安全管理上の配慮が必要な点は制約です。

④ 映像で「行かなくても現場が見える」状態を作る

現場見学の「リアルが伝わる」メリットと、Webの「いつでも誰でもアクセスできる」メリットを両立できるのが映像です。特に建設業は、プロジェクトごとに現場が変わるため、「いつでも見られる形」で現場を記録・発信する手段として映像の価値が高くなります。

採用における映像の効果を示す調査データがあります。

  • 採用動画視聴後に志望度が上がった: 約7割
    (プルークス×レバレジーズ調査 2021年、n=417)
  • 採用動画視聴後に志望度が上がった: 85.8%
    (Videoクラウド調査)
  • 採用動画が選考・内定承諾の決め手になった: 約4割
    (プルークス調査)
  • 求職者が見たい動画: 1位「事業紹介」54%、2位「社員インタビュー」50%、3位「社員の1日の流れ」50%
    (プルークス調査)

ただし、これらの調査はいずれも動画制作会社や動画配信事業者が実施したものです。 調査対象者の属性や設問設計に、映像の効果を高く見せるバイアスが含まれている可能性は認識しておく必要があります。

その上で注目すべきは、求職者が見たい動画の上位が「事業紹介」「社員インタビュー」「1日の流れ」であるという点です。これらは前のセクションで指摘した「求人票では伝わりにくい情報」そのものです。足場を組む作業のスケール感、チームでの作業の様子、職人同士のコミュニケーション。テキストだけでは伝えにくい情報を、映像なら数分で届けることができます。

映像は採用課題を解決する万能の手段ではありません。しかし、「現場が見えない」という建設業特有の壁に対しては、有効な選択肢の一つです。

⑤ キャリアパスと資格取得支援を「数字」で見せる

若手の離職を防ぎ、長期的な採用力を高めるために重要なのがキャリアパスの明示です。

「3年後にどうなれるのか」「どんな資格が取れるのか」「給与はどう上がるのか」。こうした将来像が見えないことは、若手が建設業を選ばない理由にも、入社後に辞める理由にもなります。

具体的には、以下のような情報を「数字」で見える化します。

  • キャリアステップ
    入社1年目→3年目→5年目で、どんな仕事を任されるようになるか
  • 資格取得の実績
    「入社2年で○○資格を取得した社員が○名」など、実績ベースで示す
  • 資格取得支援の内容
    受験費用の補助、勉強時間の確保、合格報奨金の有無
  • 給与テーブルの概要
    経験年数や資格取得に応じた昇給の目安

野原HD調査で「スキルが身につく」が建設業のプラスイメージ1位だったことを踏まえれば、スキルアップの道筋を具体的に見せることは、建設業の魅力を最大限に活かす施策です。「イメージ」ではなく「数字」で将来を見せることが、入社前の不安解消と入社後の定着の両方に効きます。

「伝える採用」に取り組んでいる企業の事例

ここまでの施策を踏まえ、実際に「現場の情報を届ける」取り組みを行っている事例を紹介します。

建設業で情報発信に取り組む企業

建設業界でも、情報発信を採用戦略の一部として設計する動きが出始めています。

朝日建設は、採用コンセプトムービーを制作し、自社の現場で働く魅力を映像で発信しています(ワンページメディア記事で紹介)。求人票では伝わりにくい「現場の空気感」「社員の人柄」を映像で可視化する取り組みです。

ダイニッセイは、新卒採用の強化にあたりインターンシップを積極的に活用しています(クラフトバンク記事で紹介)。また田中建興は、月一度の新入社員研修会を実施し、入社後の育成・定着に注力しています(同記事)。工業高校生の約7割が建設業への就職を志望しているというデータ(建設業振興基金)もあり、関心のある層に「現場の実態」を見せる仕組みを作ることは、確実に成果につながります。

これらの企業に共通するのは、「良い会社であること」と「それを伝えること」を別の課題として認識し、両方に投資している点です。

製造業の現場で見えた「求人票には載らない情報」

私たちStokedBaseは、同じ現場産業である製造業の現場に入って、採用コンテンツを制作してきた経験があります。

たとえば、大阪の金属加工メーカー・榛木金属工業の採用プロモーションを制作した際、まさに「求人票には載らない情報」を目の当たりにしました。プレス機が金属を成形する迫力、職人の精密な手の動き、ベテランと若手の自然なやりとり。どれも文字では再現できない、現場に行って初めてわかる情報です。

製造業と建設業は「現場が外から見えない」「仕事内容がテキストで伝わりにくい」「3Kイメージが先行する」という構造が共通しています。ただし、建設業には屋外作業が中心であること、プロジェクトごとに現場が変わること、安全管理上の撮影制約があることなど、建設業固有の条件があります。そうした条件に合わせた企画・撮影設計が前提です。

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まとめ — 改善した事実を、届ける仕組みへ

建設業の採用が難しい理由は、待遇や3Kイメージだけではありません。

  1. 有効求人倍率5.18倍、就業者数30%減という構造的な人材不足
  2. 2024年問題を機に労働環境は改善されつつあるが、その事実が求職者に届いていない
  3. 応募前・面接後・入社後のすべての段階で、「情報が足りない」ことがボトルネックになっている

求人票の具体化、改善の「証拠」発信、現場見学、映像コンテンツ、キャリアパスの数値化。方法は複数あります。自社の状況に合ったものから始めてください。

大切なのは、改善にかけた努力を、届ける仕組みとセットで動かすこと。「良い会社になった」のに「知られていない」状態は、改善していないのと同じです。伝えることに投資する。それが、建設業の採用を動かす起点になります。

StokedBaseは映像・YouTube・Webを横断し、企画の壁打ちから配信設計、運用改善まで一気通貫で支援しています。自社の採用課題を映像で解決できるか、まずは無料でご相談ください。

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