採用ブランディングとは?知名度がなくても「この会社で働きたい」を作る実践ガイド

採用ブランディングとは?知名度がなくても「この会社で働きたい」を作る実践ガイド
採用ブランディングの意味・始め方・成功事例を現場産業の実例とデータで解説。知名度がなくても人が集まる会社の共通点とは。

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「求人を出しても応募が来ない」「やっと来た人も面接で辞退される」。こうした状況が続くと、つい「うちは知名度がないから仕方ない」と考えがちです。

しかし、知名度がなくても応募が集まっている会社は存在します。その違いは「求人広告の出し方」ではなく、「求職者にどう認知されているか」にあります。この認知を意図的に設計する取り組みが、採用ブランディングです。

この記事では、採用ブランディングの意味と始め方を、現場産業(製造・物流・ホテル等)の事例とデータをもとに解説します。

なぜ採用ブランディングが必要なのか

このセクションでは、「人が来ない」構造を整理し、採用ブランディングがなぜ必要かの前提を共有します。

求人広告は「条件の比較」に引き込む

求人広告の仕組みは、給与・休日・勤務地といった条件を並べて比較させるものです。この構造では、条件面で有利な大手企業や高待遇の企業に目が向きます。

リクルートの調査では、中途採用を実施している中小企業の約3割が「募集しても、応募がない」と回答しています(リクルート「中小・中堅企業の事業課題・人材課題に関する調査」2024年9月)。条件の比較で戦う限り、知名度と待遇で勝てない会社は不利な構造に置かれ続けます。

「条件以外の理由」で選ばれている会社がある

一方で、給与や知名度では大手に劣るのに応募が集まっている会社があります。共通しているのは、求職者が「条件」ではなく「ここで働く自分がイメージできる」と感じていることです。

たとえば職場の雰囲気、社員の人柄、仕事のやりがい。こうした情報を求職者の目に届く場所に出している会社は、条件比較の土俵から降りることができています。

「知名度がない」は問題の本質ではない

「うちは知名度がないから」と言いたくなる気持ちはわかります。しかし問題の本質は、知名度がないことではなく、会社の中身が求職者に見えていないことです。

知名度がなくても、現場のリアルが見える会社は選ばれます。逆に知名度があっても、入社前のイメージと現実にギャップがあれば辞めていきます。エン・ジャパンの調査(2025年、n=291社)によると、早期離職の要因1位は「仕事内容のミスマッチ」で57%を占めています(エン・ジャパン「『早期離職』実態調査(2025)」)。

つまり、勝負は「知名度があるかどうか」ではなく「会社の中身を見せられているかどうか」で決まります。この「会社の中身を戦略的に見せる」取り組みが、次に解説する採用ブランディングです。

採用ブランディングとは何か

採用ブランディングとは、求職者に「この会社で働きたい」と感じてもらえる認知・印象を戦略的に作ることです。求人広告を出す前の段階で、自社がどんな会社で、どんな人が働いていて、どんな文化があるのかを伝えていく活動を指します。

採用ブランディング ≠ 見栄えを良くすること

「ブランディング」と聞くと、ロゴやデザインを洗練させることを想像するかもしれません。しかし採用ブランディングの本質はそこではありません。

大切なのは「自社の何を・誰に・どう伝えるか」を設計することです。おしゃれな採用サイトを作っても、載っている情報が求職者の知りたいこととずれていたら意味がありません。見栄えではなく、情報の中身と届け方の設計が採用ブランディングの核です。

求人広告との違い

求人広告と採用ブランディングは役割が異なります。

項目 求人広告 採用ブランディング
目的 募集を露出して応募を集める 「ここで働きたい」と思わせる
効果の持続 掲載期間のみ 蓄積される
情報の性質 条件(給与・休日・勤務地) 文化・人・仕事の実態
主な判断基準 条件比較で選ばれる 納得感で選ばれる

求人広告は「候補者を引っ張ってくる」施策です。しかし引っ張ってきた候補者が会社の中身を見て「よくわからない」と思えば、応募しない・辞退する・入社しても辞める。採用ブランディングは、この「見て納得する」状態を先に作る取り組みです。

どちらか一方ではなく、組み合わせて使うものです。求人広告で露出を確保し、採用ブランディングで中身を見せる。この両方が揃って初めて採用は機能します。

知名度がない会社ほど採用ブランディングが効く理由

「採用ブランディングは大手企業の施策だ」と思われがちですが、実は知名度のない会社ほど効果が出やすい構造があります。

大手企業は「名前で選ばれる」が、入社後のギャップも大きい

大手企業は知名度で人を集められます。しかしその分、「名前だけで入社を決めた」求職者も多く含まれます。入社後に「思っていた仕事と違った」と感じるケースは珍しくありません。

先述のエン・ジャパン調査で早期離職の要因1位が「仕事内容のミスマッチ」(57%)であるように、知名度で集めた人材がそのまま定着するわけではありません。知名度が高いことは「集める」段階では有利ですが、「定着させる」段階では必ずしもプラスに働きません。

現場を見せられる会社は「納得して選ばれる」

現場産業の仕事は、外からは見えにくいという特徴があります。工場の中、ホテルのバックヤード、建設現場の作業風景。日常生活で目にする機会がほとんどありません。

裏を返せば、これは見せたときのインパクトが大きいということです。求職者が「こういう仕事なんだ」「この人たちと働くんだ」と具体的にイメージできれば、条件だけでは判断できない「納得感」が生まれます。この納得感は、面接辞退や早期離職を防ぐ力になります。

知名度で選ばれた入社者と、現場を見て納得した上で入社した人。どちらが長く働くかは明らかです。

情報を出さないことが最大のリスク

株式会社moovyが就職・転職経験のある20〜40代345名を対象に実施した調査では、採用動画を見た上で応募を見送った理由として「信用しきれない・盛っている印象」が29.0%にのぼっています(moovy「採用動画トレンド調査2025」2025年9月実施)。

これは「情報を出すとリスクがある」のではなく、「中途半端な情報はかえって不信感を生む」ということです。情報を出さない会社は比較検討の段階で候補から外れます。きれいに見せすぎた会社も外れます。求職者が求めているのは「判断できるだけの正直な情報」です。

talentbookの調査(2024年2月)によると、大企業の57.5%が採用ブランディングに取り組んでいるのに対し、中堅企業は38.4%にとどまっています(talentbook「採用ブランディングにおける取り組み実態調査」PR TIMES 2024年2月)。裏を返せば、中堅企業の6割がまだ取り組んでいない。今始めれば同規模の競合に先行できる領域です。

採用ブランディングを始める4つのステップ

ここでは、予算やリソースが限られた中堅企業でも実行できる4つのステップを紹介します。「全部一気にやる」必要はありません。ステップ1から順に取り組むことで、自然と形になっていきます。

ステップ1 — 自社の「選ばれる理由」を社員から引き出す

採用ブランディングの出発点は、自社の魅力を言語化することです。ただし、社長や人事が考える「自社の魅力」と、社員が実感している魅力は異なることが多くあります。

まず、異なる部署・年次の社員5人に以下の3つを聞いてください。

  • 「入社の決め手は何だったか」
  • 「仕事で一番やりがいを感じる場面はどこか」
  • 「他社と迷ったとき、何がうちに決めた理由だったか」

ここで出てくる具体的なエピソードが、採用ブランディングの材料になります。「風通しがいい」「アットホーム」といった抽象語ではなく、社員の言葉から出てくる具体的な場面や判断軸が重要です。

ステップ2 — 「誰に来てほしいか」を具体化する

「良い人が欲しい」では採用ブランディングは機能しません。発信する内容は、届けたい相手によって変わるからです。

以下の3つの軸で、自社に来てほしい人物像を具体化してください。

  • 経験
    未経験でも可か、同業種経験を求めるか
  • 年齢層
    新卒か、20代中途か、30代以上か
  • 価値観
    安定重視か、成長重視か、仲間重視か

この3つが決まると、「何を伝えるべきか」が自然に絞り込まれます。成長重視の20代を採りたいなら、キャリアパスや研修制度を見せる。安定重視の30代なら、定着率や福利厚生の実態を見せる。伝える相手が明確になって初めて、発信の中身が定まります。

ステップ3 — 伝える手段を選び、優先順位をつける

採用ブランディングの手段は、採用サイト、動画、SNS、パンフレットなど複数あります。しかし全部を一度にやろうとすると、リソースが分散して結局どれも中途半端になります。

まず1つに絞ってください。優先順位の目安は以下のとおりです。

優先度 手段 費用感 向いている状況
最優先 求人票・採用サイトのテキスト改善 低(自社で対応可) 今すぐ始めたい。予算が限られている
社員インタビュー動画(1〜2本) 30万〜80万円 テキストでは伝えきれない情報がある
その次 採用サイトの写真・レイアウト刷新 50万〜200万円 サイトの離脱率が高い。写真がフリー素材
発展 複数本の動画+YouTube運用 100万〜300万円 継続的に発信したい。複数職種を見せたい

手段の選び方やそれぞれの効果については、「会社の魅力を伝える5つの方法」で詳しく解説しています。また、採用動画がどの程度の効果があるかは「採用動画の効果をデータと事例で検証」をご覧ください。

ステップ4 — 発信して反応を見て、改善する

採用ブランディングは「作って終わり」ではありません。発信した後に反応を見て、改善を続けるPDCAが前提です。

確認すべき指標は以下の3つです。

  • 応募数の変化
    発信前後で応募数がどう変わったか
  • 辞退率の変化
    面接辞退・内定辞退が減っているか
  • 定着率の変化
    入社後3ヶ月・6ヶ月時点の離職が減っているか

3ヶ月ごとにこの3つを振り返ってください。「動画を見た上で応募してきた人は定着率が高い」「採用サイトを改善してから辞退が減った」といった変化が見えてくると、次に何をすべきかの判断ができるようになります。

現場産業3社の採用ブランディング事例

ここでは、StokedBaseが制作に関わった3社の事例を「採用ブランディング戦略としてどう設計したか」という視点で紹介します。

物流業:シンワ・アクティブ — 採用チャネル横断で「働く文化」を一貫発信

株式会社シンワ・アクティブは、大阪を拠点に総合物流事業を展開する企業です。

採用ブランディングの設計: 単発の採用動画ではなく、採用プロセス全体を映像で一貫設計しました。採用プロモーション動画、YouTubeチャンネルでの社員密着・対談コンテンツ、モーショングラフィックスによる会社紹介動画、採用サイト、採用パンフレット。これらを「自分らしく自分に挑む」という一貫したメッセージのもとに制作しています。

ブランディングのポイント: 求職者が情報収集するどの段階(求人サイトで見る → 採用サイトを訪れる → YouTubeで詳しく見る → 説明会に参加する)でも、同じ文化が伝わる設計にしたことです。チャネルごとにバラバラのメッセージを出すのではなく、「この会社はこういう文化だ」という一貫した印象を形成しています。

実績詳細: StokedBase 制作実績 シンワ・アクティブ

ホテル業:東武ホテルマネジメント — 求職者の「イメージ」を書き換える

株式会社東武ホテルマネジメントは、東武グループのホテル運営会社で、関東圏を中心にホテルを展開しています。

採用ブランディングの設計: ホテル業は「フロント」のイメージが先行しがちです。実際にはレストラン、宴会、管理部門など多様な職種がありますが、求職者にはそれが見えていません。職種紹介動画と採用サイトTOPのファーストビュー動画を制作し、「ホテルで働く=フロントだけ」というイメージを書き換える設計にしました。

ブランディングのポイント: 採用ブランディングは「魅力を足す」だけではなく、求職者が持っている先入観を修正することも含みます。ホテル業の「華やかそう」「フロントだけ」というイメージを、社員インタビューと各部署の業務映像で具体的な職種像に置き換えることで、フロント以外のポジションへの応募を促しています。

実績詳細: StokedBase 制作実績 東武ホテルマネジメント

小売業:クリエイトエス・ディー — 社員の声で企業文化を体現する

株式会社クリエイトエス・ディーは、関東・東海圏でドラッグストア・調剤薬局チェーンを展開する企業です。

採用ブランディングの設計: 採用サイト向けのブランド動画と社員インタビュー動画を制作しました。インタビューでは質問項目を事前に整理した上で、回答は社員に自由に話してもらう形式を取っています。

ブランディングのポイント: 採用ブランディングで発信するのは「企業が語る魅力」ではなく、「社員が体現する文化」です。用意された台本を読み上げる形式では、どの会社も同じように聞こえます。社員が自分の言葉で語ることで、「この人たちと一緒に働きたい」という共感が生まれます。

企業が「うちは良い会社です」と言うのと、社員が「この仕事のここが好きなんです」と語るのでは、求職者への伝わり方がまるで違います。

実績詳細: StokedBase 制作実績 クリエイトエス・ディー

3社に共通する採用ブランディングの原則

3社の事例から見えてくる共通原則は3つです。

  1. 一貫性
    どのチャネルで接触しても同じメッセージが伝わる設計をしている(シンワ・アクティブ)
  2. 具体性
    抽象的な「良い会社」ではなく、職種・人・仕事の中身を具体的に見せている(東武ホテルマネジメント)
  3. 正直さ
    企業が作ったメッセージではなく、社員自身の言葉で文化を伝えている(クリエイトエス・ディー)

この3つは、予算の大小に関係なく取り入れられる原則です。

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採用ブランディングで失敗する3つのパターン

採用ブランディングに取り組んで成果が出ないケースには、共通するパターンがあります。

パターン1:「良く見せよう」として実態と乖離する

採用ブランディングで最もやりがちな失敗は、会社を実態より良く見せようとすることです。

きれいなオフィス写真、ポジティブな社員コメント、充実した福利厚生のアピール。これらが実態と合っていれば問題ありませんが、盛っていれば入社後に「話が違う」となります。先述のmoovy調査で応募見送り理由の上位に「盛っている印象」が入っているように、求職者は誇張を見抜きます。

採用ブランディングの目的は「良く見せること」ではなく「正しく見せること」です。ありのままの現場を見せた上で、それに共感してくれる人を採ることが、結果的に定着率を高めます。

パターン2:人事だけの活動になり、現場が巻き込めていない

採用ブランディングは人事部門の施策だと思われがちですが、人事だけでは発信する材料が足りません。

採用ブランディングの材料は現場にあります。社員の言葉、仕事の風景、チームの雰囲気。これらは人事が机上で作れるものではなく、現場の協力がなければ手に入りません。

また、社長のコミットも不可欠です。採用ブランディングは「会社としてどう見られたいか」を設計する活動であり、経営判断そのものです。人事担当者だけに任せると、経営方針との一貫性が取れず、結果として中途半端な発信になります。

パターン3:「何を発信すればいいかわからない」で止まる

「採用ブランディングが大事なのはわかったけど、うちは何を発信すればいいんだろう」。この問いにぶつかって止まる会社は少なくありません。

これは多くの場合、ステップ1(社員ヒアリング)を飛ばして手段(動画を作る、SNSを始める等)から入ろうとしたときに起きます。手段から入ると「何を撮ればいいかわからない」「何を書けばいいかわからない」となり、結局何も始まりません。

まずは社員5人にヒアリングしてください。「入社の決め手」「仕事のやりがい」「他社と迷ったとき何で決めたか」。この3つの答えが、発信すべき内容そのものです。

業種ごとの採用課題をさらに深く知りたい方は、「製造業の採用が難しい5つの理由と対策」「建設業の採用が難しい5つの理由」もご覧ください。

まとめ

  1. 採用ブランディングとは、求職者に「この会社で働きたい」と感じてもらえる認知を戦略的に作ること。知名度がなくても、現場の中身を正しく見せることで「納得して選ばれる」状態を作れる
  2. 始め方は「社員ヒアリング → ペルソナ設計 → 手段の選択 → 発信と改善」の4ステップ。全部を一度にやる必要はなく、テキスト改善から始めてもよい
  3. 成功の原則は「一貫性・具体性・正直さ」。失敗の共通点は「良く見せようとする」「人事だけで閉じる」「手段から入る」

StokedBaseは、映像・YouTube・Webを横断する制作パートナーとして、採用ブランディングの設計段階から伴走しています。「自社の何を、どう発信すればいいかわからない」という段階からご相談いただけます。まずは状況をお聞かせください。

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