採用マーケティングとは?「求人を出して待つ」採用から卒業する実践ガイド

採用マーケティングとは?「求人を出して待つ」採用から卒業する実践ガイド
採用マーケティングの考え方をファネル(認知→興味→検討→応募→入社後)に沿って解説。各段階で届けるべきコンテンツと、始める前に知っておきたい失敗パターンを紹介します。

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「求人を出しているのに応募が来ない」「来ても自社に合わない人ばかり」。こうした課題を抱える企業に共通するのは、求人広告を出して応募を待つ「受け身の採用」から抜け出せていないことです。採用マーケティングは、求職者の行動プロセスに合わせて自社の情報を届ける仕組みをつくる取り組みです。この記事では、採用マーケティングの考え方と、ファネル(段階的な流れ)の各段階で具体的に何をすればいいかを解説します。

採用マーケティングが求められる背景 — 「求人を出せば人が来る」が通用しない時代

まず、なぜ従来の採用活動だけでは人が集まりにくくなっているのかを整理します。

応募前に「調べて、比較して、選ぶ」時代

厚生労働省「一般職業紹介状況」によると、2025年の有効求人倍率は年平均1.22倍。1人の求職者に対して1.22件の求人がある計算です。求職者は「選べる立場」にいます。

この環境では、求職者の行動も変わります。求人媒体で見かけた企業にすぐ応募するのではなく、企業の公式サイト、SNS、口コミサイト、YouTubeなど複数の情報源で「この会社はどんなところか」を調べてから応募するかどうかを決めます。マイナビ「転職動向調査2026年版」では、2025年の正社員転職率は7.6%と過去最高を記録しています。転職に動く人が増えている一方で、その分「どこに応募するか」の選別も厳しくなっているのです。

知名度がない会社ほど情報発信が必要な理由

大手企業は社名だけで一定の安心感があります。しかし従業員数十名〜数百名規模の会社は、求職者にとって「聞いたことがない会社」であることがほとんどです。

聞いたことがない会社の求人票を見たとき、求職者はまず企業名で検索します。このとき、公式サイトに採用情報がほとんどない、SNSが更新されていない、社員の声がどこにもない。こうした状態だと「よくわからない会社」として候補から外れます。求人広告の費用をいくらかけても、情報発信がなければ「検討のテーブル」にすら乗らないのです。

採用マーケティングとは — 求職者の行動に合わせた情報設計

採用マーケティングとは、マーケティングの考え方を採用活動に取り入れることです。商品を売るときに「誰に、どんな価値を、どう届けるか」を設計するように、採用でも「どんな人に、自社のどんな魅力を、どのタイミングで届けるか」を設計します。

ポイントは、求職者が「自社を知る→興味を持つ→応募を検討する→入社する」という行動プロセスの各段階に合わせて情報を届けることです。求人広告は「すでに転職を考えている人」にしか届きませんが、採用マーケティングでは「まだ転職を考えていないが、いい会社があれば動くかもしれない」層にもアプローチできます。

従来の採用活動との違い

従来の採用活動は、求人媒体に掲載して応募を待つ「受け身型」です。対象は「今すぐ転職したい人」に限られます。

採用マーケティングは、企業側から情報を発信して求職者との接点をつくる「能動型」です。今すぐ転職を考えていない層にも、SNSや動画コンテンツを通じて自社を認知してもらい、将来の応募候補者として関係を築いていきます。

従来の採用活動 採用マーケティング
アプローチ 求人掲載→応募を待つ 情報発信→接点をつくる
対象 今すぐ転職したい人 転職潜在層を含む幅広い層
情報の届け方 求人票の条件 複数チャネルで自社の魅力を発信
成果の時間軸 短期(掲載期間中) 中長期(認知蓄積型)

採用ブランディング・採用広報・採用戦略との関係

採用マーケティングは、関連する3つの概念と組み合わせて機能します。

つまり、採用戦略で方針を決め、採用ブランディングで伝える価値を定め、採用マーケティングでファネル全体を設計し、採用広報で実際に発信する。この4つが連動して初めて「待ちの採用」から脱却できます。

採用マーケティングの全体像 — ファネルで5つの段階をつかむ

採用マーケティングでは、求職者が自社を知ってから入社するまでのプロセスを「ファネル(段階的な流れ)」として捉えます。商品の購買プロセスと同じように、各段階で求職者が求める情報は異なります。

認知 — まず自社の存在を届ける

求職者に「こんな会社がある」と知ってもらう段階です。求人媒体だけに頼っていると、媒体を見ている人にしか届きません。SNS、YouTube、自社サイトのコラムなど、求職者が日常的に触れるチャネルで接点をつくることが目的です。

興味 — 「ちょっと気になる」をつくる

社名を見かけた求職者が「どんな会社だろう」と思ったとき、その好奇心に応えるコンテンツがあるかどうかが分かれ目です。社員インタビュー、職場の雰囲気がわかる動画、会社の考え方を発信するブログなどが、「ちょっと気になる」を「もっと知りたい」に変えます。

検討・応募 — 「ここで働けるか」の判断材料を渡す

興味を持った求職者が「本当にここで働けるか」を検討する段階です。仕事の1日の流れ、入社後のキャリアパス、給与・福利厚生の具体的な情報が必要になります。この段階の情報が不足していると、興味はあるのに応募に至らない「検討離脱」が起こります。

入社後 — 定着と次の採用につなげる

入社がゴールではありません。入社後の定着支援まで含めて設計することで、早期離職を防ぎ、社員からの紹介(リファラル採用)にもつながります。入社後のギャップを減らすためにも、採用段階で「リアルな情報」を出しておくことが重要です。早期離職の構造的な原因については「早期離職の原因と対策|入社後ギャップを採用段階で防ぐ5つの方法」で詳しく解説しています。

ファネルの各段階で届けるコンテンツと手法

ここからは、各ファネル段階で「何を・どんな形式で」届ければいいかを具体的に整理します。

ファネル段階 届ける情報 コンテンツの形式 チャネル
認知 会社の存在
事業内容
会社紹介動画
SNS投稿
コラム記事
YouTube
Instagram
自社サイト
興味 職場の雰囲気
社員の人柄
社員インタビュー動画
1日の流れ
職場風景
YouTube
採用サイト
検討・応募 仕事内容の詳細
条件
キャリアパス
採用サイト
募集要項
FAQ
自社サイト
求人媒体
入社後 入社者のリアルな声
入社後の成長
入社者インタビュー
社内報
社内共有
SNS

「知ってもらう」段階のコンテンツ

認知段階で最も効果的なのは、自社の事業や現場の姿が短時間で伝わるコンテンツです。特に動画は、文字だけでは伝わらない現場の空気感を届けることができます。

たとえば、StokedBaseが制作を担当した榛木金属工業株式会社の採用向けYouTubeコンテンツでは、社員の密着を通じて日々の業務や働き方を描き、社内の雰囲気をリアルに伝える構成になっています。求職者が「自分が働くイメージ」を持てるコンテンツです。会社紹介動画の構成や制作のポイントについては「会社紹介動画の作り方|構成の基本と成果につなげるポイント」で詳しく解説しています。

「興味を持ってもらう」段階のコンテンツ

この段階では、「この会社で働いている人は、どんな人か」が伝わるコンテンツが鍵になります。社員インタビューは定番ですが、台本通りの受け答えでは求職者に響きません。社員の言葉で、自分がなぜこの会社にいるのか、仕事のどこにやりがいを感じるかを語ってもらうことが大切です。

プルークスの調査(2022年)によると、採用動画を視聴した就活生の69.4%が「志望度が高まった」と回答しています。動画には文字にはない説得力があり、特に職場の雰囲気や社員同士の関係性といった「体感でしかわからない情報」を伝えるのに適しています。採用動画の効果や活用方法については「採用動画の効果を現場産業の事例で検証」で紹介しています。

「検討・応募」段階のコンテンツ

検討段階の求職者は「この会社に入って大丈夫か」を慎重に見極めています。必要なのは、具体的で正確な情報です。

  • 仕事内容の詳細
    1日の流れ、どんなチームで何をするか
  • 条件面
    給与レンジ、福利厚生、勤務地、勤務時間
  • 成長の見通し
    入社後のキャリアパス、研修制度、先輩社員の成長事例

ここで重要なのは、求職者が「知りたい」と思っている情報と、企業が「伝えたい」と思っている情報は同じとは限らないということです。企業は理念やビジョンを伝えたがりますが、検討段階の求職者が知りたいのはもっと具体的な「働く姿」です。この点については「会社の魅力の伝え方|求職者が本当に知りたい情報と届ける5つの方法」で詳しく解説しています。

採用マーケティングでありがちな3つの失敗

採用マーケティングを始めようとする企業が陥りやすい失敗パターンを3つ紹介します。

手法から入ってしまう

「とりあえずInstagramを始めよう」「TikTokが流行っているから動画を作ろう」。手法から入ると、発信の目的やターゲットが定まらないまま走り始めることになります。結果、誰に向けた発信なのかわからないコンテンツが増え、応募にはつながりません。

まず決めるべきは「誰に来てほしいか」「その人は何を知りたいか」です。ターゲットと伝える内容が決まれば、手法は自然と絞られます。

発信を始めたが続かない

採用コンテンツの発信で最も多い失敗は「続かない」ことです。最初の数本は作れても、ネタが尽きたり担当者が忙しくなったりして止まります。

対策は、最初から「小さく、続けられる量」で始めることです。月1本のコラム記事、月2本のSNS投稿。最初は量より「途切れないこと」を優先します。情報発信のリズムが社内で定着してから、動画制作など手間のかかるコンテンツに広げていくのが現実的な進め方です。

「伝えたいこと」と「知りたいこと」がズレている

経営者が伝えたい情報と、求職者が知りたい情報にはギャップがあります。企業側は「理念」「ビジョン」「成長性」を語りたがりますが、求職者が最も知りたいのは「自分がそこで実際に何をして、どんな日々を過ごすのか」です。

発信内容を決めるときは、直近の内定者や入社1-2年目の社員に「入社前に知りたかったこと」を聞くのが最も確実な方法です。採用ターゲットに近い人の視点が、発信内容のズレを防いでくれます。

まとめ

採用マーケティングは、求人広告を出して応募を待つだけの採用から抜け出すための考え方です。

  1. 求職者は「調べて、比較して、選ぶ」
    企業側が情報を出していなければ、候補にすら入らない
  2. ファネルの各段階に合わせて情報を届ける
    求人票だけでカバーできるのは「検討→応募」の一部だけ
  3. 手法より先に「誰に、何を伝えるか」を決める
    SNSや動画は手段であり、目的ではない

自社の採用に「マーケティングの視点」を取り入れることは、大掛かりなプロジェクトではありません。まずは、求職者が自社を検索したときに「この会社、ちょっと気になる」と思える情報が出てくる状態をつくること。そこが出発点です。

StokedBaseでは、採用動画・会社紹介動画・採用サイトなど、採用マーケティングの各段階で必要なコンテンツの企画から制作までをお手伝いしています。自社の採用課題を整理するところから、お気軽にご相談ください。

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