「求人広告を出しているのに応募が来ない」「来ても辞退される」。この状況が繰り返されるなら、求人の出し方ではなく採用の仕組みそのものを見直す必要があります。採用戦略とは、求人を出す前に「誰に・何を・どう届けるか」を設計する活動です。この記事では、採用戦略の意味から具体的な立て方、情報発信の設計までを、現場で人を必要としている企業の視点で解説します。
目次
採用戦略とは、自社が必要とする人材を計画的に確保するための仕組みです。ポイントは「応募を待つ」のではなく「選ばれるための準備をする」こと。事業に必要な人材像を明確にし、その人材に自社を見つけてもらい、魅力を感じてもらうまでの一連の流れを設計します。
採用戦略と混同されやすいのが「採用計画」です。両者の違いはシンプルです。
採用計画は採用戦略の一部です。「今期5名採用する」という計画があっても、「どんな人に来てほしいか」「その人にどう自社を知ってもらうか」が決まっていなければ、結局は求人広告を出して待つだけになります。
採用環境は大きく変わっています。有効求人倍率は上昇を続け、特に製造業、建設業、介護などの現場産業では慢性的な人手不足が続いています。
一方で、求職者の行動も変わりました。転職者の約9割が応募前に企業の情報収集を行っています。
出典: マイナビ「転職動向調査」2024年
求人媒体に掲載するだけでは「見つけてもらう」ことすら難しい時代です。こうした環境変化に対して、場当たり的に求人を出すのではなく、「誰に・何を・どう届けるか」を戦略的に設計する必要が出てきたのです。
採用戦略を立てる前に、まず「なぜ今の採用がうまくいっていないのか」を把握することが重要です。人材確保が難しくなっている構造的な理由は別の記事で詳しく解説していますが、現場で多く見られる問題は以下の3つに集約されます。
「経験者がほしい」「真面目な人がいい」。こうした漠然とした人材像で採用を進めると、求人票の書き方も曖昧になり、応募者との期待のズレが起きやすくなります。
必要なのは「どんなスキルを持ち、どんな働き方を望む人が、自社で活躍できるか」を具体的に定義すること。これが採用戦略の出発点です。
「うちは技術力がある」「社員の定着率が高い」。こうした自社の強みがあっても、求職者に伝わる形になっていなければ意味がありません。
求職者が知りたいのは「その会社で自分がどう働けるか」です。「技術力がある」を「入社1年目から先輩の横でものづくりに携わる」に変換できるかどうかが、応募につながるかの分かれ目です。
求人広告は採用チャネルの一つにすぎません。しかし、「採用=求人広告を出すこと」と考えている企業は少なくありません。
求人媒体は「今すぐ転職したい人」にはリーチできますが、「いい会社があれば転職したい」と考えている潜在層には届きません。こうした潜在層に自社を知ってもらうには、求人媒体以外の情報発信が必要です。
ここからは、採用戦略を実際に立てるための5つのステップを解説します。フレームワークの名前を覚える必要はありません。「自社の状況を整理し、具体的な行動に落とし込む」ための手順です。
まず、事業計画や組織の課題から逆算して「どんな人材が必要か」を具体化します。
たとえば製造業で「来期、生産ラインを1本増設する」のであれば、必要なのはライン管理ができる経験者か、育成前提の未経験者か。それによって採用戦略のすべてが変わります。
具体化するポイントは3つです。
次に、自社が求職者からどう見えているかを確認します。社内の「うちの強み」と、外から見た「この会社の印象」にはギャップがあることが多いです。
確認すべきポイントは以下です。
この分析をマーケティングでは「3C分析」や「SWOT分析」と呼びますが、名前は重要ではありません。大切なのは「自社の現在地を正確に把握する」ことです。
ステップ1で「どんな人に来てほしいか」を決め、ステップ2で「自社がどう見えているか」を把握したら、次は「何を伝えるか」を設計します。
ここが採用戦略の中で最も見落とされやすいステップです。多くの企業は「求人票に情報を載せて終わり」ですが、求職者が知りたい情報はもっと多い。仕事の1日の流れ、職場の雰囲気、社員の人柄。こうした情報を、どの手段でどう届けるかを設計します。
情報設計の詳しい進め方は「採用広報の意味と始め方を解説した記事」で解説しています。
情報の中身が決まったら、それをどこに出すかを決めます。主なチャネルは以下です。
すべてを同時に始める必要はありません。自社のリソースに合わせて優先度をつけ、まず1つの手段を軸に始めることが現実的です。
採用戦略は「作って終わり」ではありません。実行しながら振り返り、改善し続けることが重要です。
確認するポイントは3つです。
特に「応募者の質」が改善されているかどうかが最も重要な指標です。数を増やすだけでなく、自社に合った人材が来ているかを見ることで、戦略の精度が上がります。
採用戦略の5ステップの中で、特に現場産業の企業が見落としがちなのがステップ3の「情報設計」です。このセクションでは、なぜ情報発信が採用戦略の成否を分けるのかを、データをもとに解説します。
転職者の約9割が応募前に企業情報を調べています。
出典: マイナビ「転職動向調査」2024年
調べる先は求人票だけではなく、企業の公式サイト、SNS、口コミサイト、YouTubeなど多岐にわたります。このとき、求人票の情報しか出てこない企業は「よくわからない会社」として候補から外れます。自社の情報が求職者の目に触れる状態を作ることが、採用戦略の土台です。
求職者が動画で見たい内容の上位は「1日の流れ」「現場の雰囲気」「入社理由・やりがい」です。
出典: moovy「採用動画のトレンドに関する調査」2024年(n=327)
また、採用動画を見た求職者の6割以上が志望度が上がったと回答しています。
出典: Lumii「採用動画に関する実態調査」2024年
特に製造業や建設業、ホテルなどの現場産業では、仕事の魅力は「体験しないとわからない」部分にあります。工場のライン、建設現場の朝礼、ホテルの裏方の連携。こうした空気感を求職者に届けることが、現場産業の採用戦略で最も重要な差別化ポイントです。最新の採用動画トレンドも参考にしてください。
採用戦略を立てたら、次は実行です。ここでは、戦略を具体的な施策に落とし込む3つの手段を紹介します。それぞれの詳細は個別の記事で解説しています。
採用広報は、求人媒体に頼らず自社から情報を発信する活動です。求職者に「この会社の情報がある」と見つけてもらえる状態を作ることが目的です。
自社の採用ページ、note、SNS、YouTubeなど、発信手段は複数ありますが、まずは1つに絞って始めるのが現実的です。詳しくは「採用広報の意味と始め方を解説した記事」をご覧ください。
採用ブランディングは、「自社がどんな会社として認知されたいか」を設計する取り組みです。採用広報が「情報を届ける実行面」なら、採用ブランディングは「何を伝えるかの設計面」です。
知名度がない企業こそ、自社の魅力を意図的に設計する必要があります。詳しくは「採用ブランディングの実践ガイド」で解説しています。
採用動画は、職場の雰囲気、社員の表情、仕事の進め方を映像で伝える手段です。文字では伝えきれない「空気感」を届けられるのが最大の強みで、求職者の8割以上が採用動画を視聴しているというデータもあります。
出典: moovy調査 2024年
一度制作すれば、採用サイト・YouTube・SNS・説明会など複数の場面で繰り返し使えます。「採用動画の効果を事例付きで解説した記事」もあわせてご覧ください。
採用戦略は、求人を出す前に「誰に・何を・どう届けるか」を設計する仕組みです。
StokedBaseは、現場産業の企業が抱える「伝わらない」課題に対して、映像制作・採用サイト制作・YouTube運用で採用戦略の実行を支援しています。「自社の採用を仕組み化したい」という方は、お気軽にご相談ください。