「求人を出しても応募が来ない」「せっかく採用してもすぐに辞めてしまう」。人材確保に悩む企業からこうした声を聞くことが増えています。少子高齢化で労働人口が減っている以上、どの業界でも採用は難しくなっています。しかし、人材確保がうまくいかない原因は「人が少ないから」だけではありません。
この記事では、人材確保が難しい構造的な原因をデータで分析し、今すぐ取り組める具体策を5つ紹介します。特に製造業・建設業・物流といった現場産業に焦点を当て、求職者に「情報が伝わっていない」という見落とされがちな課題と、その解決策を解説します。
目次
人材確保の難しさは、精神論ではなく数字で確認できます。まず業種別の有効求人倍率を見てみます。
| 業種 | 有効求人倍率 |
|---|---|
| 全産業平均 | 1.25倍 |
| 製造業(生産工程) | 1.50倍 |
| 運輸・郵便(ドライバー等) | 2.78倍 |
| 建設業(建設・採掘) | 5.04倍 |
出典: 厚生労働省「一般職業紹介状況」2025年
建設業の5.04倍は、求職者1人を5社以上が奪い合っている状態です。製造業でも、2025年版ものづくり白書では従業員数過不足DI(人手が足りているかどうかの指標)がマイナス20.4と報告されており、慢性的な人手不足が続いています。物流業界では2024年問題を背景に、ドライバー不足が14万人規模に達すると予測されています(鉄道貨物協会「本部委員会報告書」2019年 / 経済産業省推計)。
こうした数字を見ると「市場環境が厳しいのだから仕方ない」と感じるかもしれません。しかし、同じ業界・同じ地域でも、人材確保に成功している企業は存在します。その違いはどこにあるのか。次のセクションで、うまくいかない企業に共通する課題を整理します。
製造業の採用課題については「製造業の採用が難しい5つの理由|「現場が見えない」が最大の壁」で、建設業については「建設業の採用が難しい本当の理由」で詳しく解説しています。
人材確保に苦戦している企業には、業種を問わず共通するパターンがあります。ここでは3つの課題に整理します。
多くの求人票は「給与」「勤務時間」「休日」「福利厚生」の羅列で終わっています。もちろんこれらは重要な情報ですが、求職者が本当に知りたい情報はそれだけではありません。
アルバイトタイムスが運営する採用メディア「ヒトクル」の調査(2021年)では、回答者の9割以上が「情報不足が原因で応募しなかった経験がある」と回答しています。待遇だけを見て応募先を決める求職者は少数派です。「この会社ではどんな仕事をするのか」「どんな人と一緒に働くのか」。そうした情報がなければ、求職者は不安を感じて応募を見送ります。
特に製造業や建設業のような現場仕事では、文字情報だけで仕事の魅力を伝えることに限界があります。
「チームワークを大切にしています」「風通しの良い職場です」。こうした表現は、どの求人票にも書かれています。しかし読む側からすれば、具体的なイメージが湧きません。アルチ社の調査(2025年・就転職経験者978名対象)では、75.4%の求職者が「採用動画はあった方がよい」と回答しており、志望度が上がった要因として「職場の雰囲気や空気感がリアル」(37.4%)、「社員の表情や人柄が自然に伝わった」(34.9%)が上位に挙がっています。求職者はテキストでは得られない「現場の空気」を強く求めているのです。
求職者が知りたいのは、抽象的なキャッチコピーではなく「実際の現場の空気」です。工場のラインはどんな雰囲気で動いているのか。建設現場では先輩とどうやりとりしているのか。こうした情報は、文字よりも映像や写真のほうがはるかに伝わります。
「採用した後のフォローを手厚くすれば定着する」という考え方があります。もちろん入社後の研修やメンター制度は重要です。しかし、人材確保の課題を入社後の施策だけで解決しようとすると、根本的な問題を見落とします。
エン・ジャパンの調査によると、約79〜87%の人が入社前と入社後でギャップを経験しており、そのギャップが原因で離職する人の理由トップは「職場の雰囲気が思っていたのと違った」(29〜34%)です。
出典: エン・ジャパン「エン派遣」調査2023年 /「AMBI」調査2025年
つまり、入社後にいくらフォローしても「思っていたのと違う」という感覚は簡単には消えません。この問題は入社後ではなく採用段階で、正確な情報を届けることで防ぐ必要があります。入社前後のギャップと早期離職の関係については「早期離職の原因と対策|入社後ギャップを採用段階で防ぐ5つの方法」で詳しく解説しています。
ここまで見てきた3つの課題には共通点があります。それは「情報の伝え方」の問題です。待遇しか載っていない求人票、文字では伝わらない現場の空気、入社前と入社後のギャップ。いずれも、求職者に届けるべき情報が届いていないことが根本にあります。
3つの課題に共通する「情報不足」という問題を、さらにデータで掘り下げます。
求職者が応募を見送る最大の理由は、待遇の悪さではなく情報の少なさです。 先ほど紹介した「ヒトクル」の調査では、回答者の9割以上が情報不足で応募を見送った経験があると回答しています。では、どんな情報が足りていないのか。
アルチ社の調査(2025年)を見ると、求職者が企業選びで重視する情報と、求人票で得られる情報の間に大きなズレがあることがわかります。
求職者が志望度向上に必要とする情報(上位):
求人票に書かれている情報(中心):
このズレが「情報不足」の正体です。企業側は「必要な情報は書いている」と考えていても、求職者にとって意思決定に必要な情報が抜けているのです。
さらに注目すべきデータがあります。同調査では、採用動画を視聴した求職者の75.4%が「採用動画はあった方がよい」と回答しています。求職者は、テキストでは伝わらない情報を映像で得たいと考えているのです。つまり、この問題は採用市場の構造的な問題ではなく、企業側の情報発信の手段を変えれば解決できる課題です。
「求人を出しても来ない」のは、人がいないからではなく、情報が届いていないから。この認識の転換が、人材確保の第一歩になります。
「情報不足」が原因なら、やるべきことは明確です。求職者が意思決定に必要な情報を、届きやすい形で発信すること。ここでは、今すぐ取り組める具体策を5つ紹介します。
求人票のテキスト情報だけでは伝わらない「現場の空気」を、映像や写真で届ける方法です。
採用動画は、職場の雰囲気や社員の表情、仕事のリアルな様子を短時間で伝えることができます。プルークスの調査(2021年・22卒対象)では、採用動画を視聴した求職者の約7割が志望度が上がったと回答しています。テキストだけでは伝えにくい「この会社で働くイメージ」を、映像なら数分で届けることができます。
採用コンテンツの選択肢は動画だけではありません。
採用動画の効果やデータについては「採用動画の効果を現場産業の事例で検証」で詳しく解説しています。
動画や写真の制作にはある程度の準備が必要ですが、求人票の書き方を変えることは今日からでもできます。
ポイントは、待遇の羅列から「働くイメージが湧く情報」への転換です。
改善前(よくある求人票):
改善後(働くイメージが湧く求人票):
求職者が知りたい情報については「会社の魅力の伝え方|求職者が本当に知りたい情報と届ける5つの方法」で解説しています。
求人媒体への掲載だけに頼ると、掲載期間中しか情報が届きません。自社の採用サイトやSNSを活用することで、常に求職者との接点を持つことができます。
継続的な情報発信は、すぐに応募数が増えるものではありません。しかし、求職者が「この会社について調べてみよう」と思ったときに情報が見つかる状態を作ることが重要です。企業としての情報発信の考え方については「採用ブランディングとは?知名度がなくても「この会社で働きたい」を作る実践ガイド」で解説しています。
求職者にとって最も不安が解消されるのは、実際に現場を見ることです。
入社前に現場を見せることは、ミスマッチ防止の決定打にもなります。「思っていたのと違った」という入社後ギャップの大部分は、事前に現場を見ることで防げます。
人材確保は「採ったら終わり」ではありません。採用段階で伝えた情報と、入社後の実態が一致していることが、定着率を左右します。
具体的には以下のような設計が必要です。
採用と定着を別々に考えるのではなく、一つのサイクルとして回すことが、中長期的な人材確保につながります。
ここまで紹介した取り組みの中でも、映像活用は「情報不足」の解消に特に有効な手段です。Candeeの調査(2022年)では、採用に成功している企業の63.3%が動画コンテンツを活用しており、動画を活用している企業の62.3%が「内定承諾率の向上」を実感しています。


私たちStokedBaseは映像制作会社として、製造業・建設業・ホテルをはじめとする現場産業の採用コンテンツを制作してきました。ここでは実際の制作事例を紹介します。
ホテル業界は宿泊業・飲食サービス業に含まれ、大卒3年以内の離職率が55.4%と全産業でワーストクラスです。東武ホテルマネジメントでは、多職種の仕事内容や職場の魅力を求職者に伝えるため、職種紹介動画を制作しました。
各職種の社員インタビューを通じて、東武ホテルだからこそ感じられるやりがいやホスピタリティの価値をリアルな言葉で伝えています。求人票だけでは伝わらない「現場の空気」を映像で届けることで、求職者が入社後の働くイメージを具体的に持てるようになっています。
クリエイト エス・ディーでは、「自然な雰囲気で撮影したい」という要望のもと、台本に頼らない採用インタビュー動画を制作しました。大枠の質問内容のみを事前にすり合わせ、社員のリアルな言葉を引き出しています。
インサート映像で仕事風景や社内の雰囲気を補足することで、テキストでは伝わらない「職場の空気」を映像化。完成した動画は採用サイトに掲載され、応募前に安心感を与えるコンテンツとして活用されています。
どちらの事例にも共通しているのは、求職者が知りたい情報を、映像という手段で正確に届けている点です。きれいな映像を作ることが目的ではなく、工場のラインで働く人の表情、ホテルでのチームの連携、先輩社員が後輩を指導する場面といった「日常のリアル」を見せることが重要です。
人材確保が難しい原因は、労働人口の減少だけではありません。この記事で解説した内容を3つのポイントで振り返ります。
「求人を出しても来ない」状況を変えるために、まずは求職者に届けている情報を見直すことから始めてみてください。
StokedBaseでは、製造業・建設業をはじめとする現場産業の採用映像を制作しています。「現場の魅力をどう伝えればいいかわからない」「採用動画を作りたいが何から始めればいいかわからない」といった課題をお持ちでしたら、お気軽にご相談ください。