「求人広告に毎月お金をかけているのに、まともな応募が来ない」「せっかく入社しても半年で辞めてしまう」。こうした採用の悩みを抱える企業は少なくありません。とくに製造業や建設業、物流といった現場産業では、採用課題が年々深刻さを増しています。
しかし、多くの企業が見落としているのは「採用手法の問題」ではなく「情報の届け方の問題」だということです。求職者は応募の前に企業の情報を調べています。そこに「この会社で働くイメージ」が湧く情報がなければ、どれだけ求人を出しても人は来ません。
この記事では、採用課題の根本原因を構造的に整理し、現場産業ならではの課題とその解決策を体系的に解説します。採用戦略の立て方から映像コンテンツの活用まで、全体像を把握できる内容になっています。
目次
採用課題を解決するには、まず「いま何が起きているのか」を数字で把握することが出発点です。
現場産業の有効求人倍率は、全産業平均と大きくかけ離れています。
| 業種 | 有効求人倍率 |
|---|---|
| 建設 | 5.79倍 |
| 介護 | 3.41倍 |
| 運輸・郵便 | 2.30〜2.74倍 |
| 製造(生産工程) | 1.50倍 |
| 全産業平均 | 1.22〜1.25倍 |
出典: 厚生労働省「一般職業紹介状況」2024年11月
建設業では1人の求職者を約6社が奪い合っている計算です。「人手不足」は業界全体の構造的な問題ですが、同じ業界でも人が集まる会社と集まらない会社があります。その差はどこにあるのでしょうか。
採用にかかるコストも無視できません。中途採用1人あたりの平均コストは134.6万円で、求人媒体に月額100万円以上をかけている企業は29.7%にのぼります(エン・ジャパン「中途採用状況調査2025年版」)。決して「採用に投資していない」わけではなく、投資しているのに成果が出ていないのが実態です。
問題は「採用活動の量」ではなく「届けている情報の質」にあります。自社の定着率が業界平均と比べてどのような水準かを把握したい場合は「定着率とは?計算方法と業界平均、改善のために最初に見直すべきこと」で確認できます。また、人材確保の取り組み全体を見直したい場合は「人材確保が難しい理由と今すぐできる取り組み」も参考になります。
採用がうまくいかない原因を「求人媒体が悪い」「給与が低い」で片付けてしまう企業は多いです。しかし、データを見ると根本原因はもっと手前にあります。
マイナビの調査では、求職者の約90%が応募前に企業の情報を調べています。つまり、応募が来ない場合、求職者は求人を「見ていない」のではなく「見た上で応募しなかった」可能性が高いのです。
では、求職者は何を見て判断しているのでしょうか。
moovyの調査(n=327)では、求職者が就職活動で知りたい情報の上位は「社内の雰囲気」「1日の仕事の流れ」「一緒に働く人の様子」でした。一方、多くの企業が発信しているのは「募集要項」「福利厚生」「会社概要」です。求職者が知りたい情報と、企業が伝えている情報がずれている。これが採用課題の構造的な原因です。
このズレは応募数だけでなく、入社後の定着にも影響します。エン・ジャパンのAMBI調査では、転職経験者の87%が「入社後にギャップを感じた」と回答し、そのうち70%が「ギャップが原因で離職を考えた」と答えています。応募前に伝えるべき情報を伝えなかった結果が、入社後のミスマッチとして表面化しているのです。
入社前の情報ギャップと早期離職の関係については「早期離職の原因と対策|入社後ギャップを採用段階で防ぐ方法」で詳しく解説しています。また、求職者が本当に知りたい情報と届け方の具体策は「会社の魅力の伝え方|求職者が本当に知りたい情報と届ける方法」にまとめています。
「情報が伝わらない」という問題は全業種に共通しますが、製造業・建設業・物流などの現場産業ではとくに深刻です。その理由は3つあります。
1. 仕事の実態がテキストで伝わらない
オフィスワークであれば「営業」「企画」といった職種名でおおよその仕事がイメージできます。しかし「プレス加工」「鳶工事」「ピッキング」と聞いて具体的な作業をイメージできる求職者は多くありません。工場内、建設現場、倉庫の中は外部から見えず、求人票のテキストだけでは仕事のリアルが伝わらないのです。
2. 業界のイメージと実態のギャップ
建設業は近年、週休二日制の導入やICT化が進み、労働環境は大きく改善されています。しかしその改善は求職者に届いていません。建設業の有効求人倍率が5倍を超えている背景には「実態は変わっているのに、イメージが更新されていない」という情報発信の問題があります。
3. 知名度の壁
従業員50〜500名の中堅企業は、大手のように知名度で人を集めることができません。求職者が情報を探す場面(検索、SNS、口コミサイト)に自社の情報がなければ、検討の土台にすら乗れません。大企業の57.5%がすでに採用コンテンツの強化に取り組んでいるのに対し、中堅企業は38.4%にとどまっています(talentbook調べ、PR TIMES)。
業種ごとの詳しい課題分析は、以下の記事で解説しています。
採用課題に直面したとき、多くの企業がまず考えるのは「求人媒体を変える」「掲載費を増やす」といった施策です。しかし、伝える情報そのものが変わらなければ、媒体を変えても結果は同じです。
必要なのは「何を、誰に、どう届けるか」を設計すること、つまり情報設計です。
採用における情報設計は、4つの概念が段階的につながっています。
採用戦略は、自社が求める人材像を明確にし、その人に届けるべき情報と手段を設計する全体方針です。「求人を出して待つ」のではなく「選ばれる仕組み」を作ることが目的です。
具体的な5つのステップは「採用戦略とは?自社に合った採用の仕組みをつくる実践ステップ」で解説しています。
採用ブランディングは、自社の価値観・文化・働き方を継続的に発信し、「この会社で働きたい」という認知をつくる取り組みです。知名度がなくても、一貫したメッセージを発信し続けることで候補者の印象に残る企業になれます。
実践方法は「採用ブランディングとは?知名度がなくても「この会社で働きたい」を作る実践ガイド」にまとめています。
採用広報は、求人票には載らない情報(社員の声、職場の雰囲気、仕事のやりがい)を求職者に届ける活動です。求人媒体だけに頼らず、自社の発信チャネル(サイト、SNS、動画)で「知ってもらう」機会を増やします。
始め方は「採用広報とは?求人票だけでは伝わらない自社の魅力を届ける方法」で解説しています。
採用マーケティングは、求職者の行動フロー(認知→興味→検討→応募→定着)に合わせて、各段階で適切な情報を届ける考え方です。「知ってもらう」段階と「応募してもらう」段階では、届けるべき情報も手段も異なります。
ファネル別のコンテンツ設計は「採用マーケティングとは?「求人を出して待つ」採用から卒業する実践ガイド」で詳しく説明しています。
自社の採用情報が「届いているか」を見直したい方は、StokedBaseの映像制作サービスもご覧ください。現場産業に特化した採用動画・チャンネル運用で、求職者に届く情報発信を支援しています。
情報設計の方針が決まったら、次は「どんな形で届けるか」です。テキスト、写真、動画、SNSなど手段はさまざまですが、現場産業の「見えない」課題を解決するには、映像コンテンツが有効な選択肢になります。
採用動画の効果は複数の調査で検証されています。
| 調査項目 | 結果 | 出典 |
|---|---|---|
| 動画視聴後の 志望度変化 |
73%が「志望度が上がった」 | プルークス・レバレジーズ 2021年(n=417) |
| 採用動画の必要性 | 75.4%が「必要」と回答 | アルチ 2025年(n=2,405) |
| 内定承諾率への影響 | 62.3%が「向上した」 | エン・ジャパン |
テキストでは伝えきれない「職場の空気」「人の表情」「仕事の動き」を映像は直接伝えることができます。とくに現場産業では、この差が求職者の応募判断を左右します。
効果の詳細な検証は「採用動画は本当に効果があるのか?事例で検証」で解説しています。
採用動画を作る際に最も重要なのは「何を映すか」です。企業が伝えたいことではなく、求職者が知りたいことを映す必要があります。
ただし「いきなり動画を作る」前に、前述の情報設計(誰に、何を伝えるか)を固めることが大切です。目的が曖昧なまま動画を制作しても、効果は限定的です。
動画の種類と自社に合った選び方は「採用動画のトレンドと成功事例|自社に合った動画タイプの選び方」、費用の目安は「採用動画の費用相場|種類別の料金と予算別の始め方」で確認できます。制作の流れは「採用動画の制作|準備から撮影・納品までの進め方」、会社紹介動画の構成は「会社紹介動画の作り方|構成の基本と成果につなげるポイント」、採用動画の種類別事例は「採用動画の事例を種類別に紹介|自社に合った動画タイプの選び方」でそれぞれ解説しています。
採用課題に映像コンテンツで向き合った企業の事例を紹介します。
物流業 / シンワ・アクティブ
総合物流サービスを提供するシンワ・アクティブは、採用動画とYouTubeチャンネルを組み合わせた情報発信に取り組みました。現場で働く社員の日常や仕事への想いを映像で伝えることで、求職者が「ここで働く自分」をイメージできる情報を届けています。
製造業 / 榛木金属工業
金属加工を手がける榛木金属工業は、YouTubeチャンネルを開設し、製造現場の様子や社員の声を定期的に発信しています。工場内の作業工程や職場の雰囲気を映像で見せることで、「製造業=きつい」というイメージに対して実態を伝える取り組みです。
いずれの事例も、映像を作る前に「誰に、何を伝えるか」の設計を行い、その上で映像の構成・配信先を決めています。
採用課題の本質は「手法の問題」ではなく「情報の問題」です。この記事のポイントを振り返ります。
採用課題は一朝一夕では解決しませんが、「伝え方を変える」ことで応募の質と量は変わります。まずは自社の採用情報を求職者の目線で見直すところから始めてみてください。
StokedBaseは、現場産業の採用課題を映像コンテンツで解決する映像制作会社です。採用動画の企画・制作から、採用サイトの構築、YouTubeチャンネルの運用まで、採用の情報設計をトータルで支援しています。